すばらしい眺めとともにゆったりとくつろげる部屋
飛行機の離発着が眺められるスカイグリル
階にあるゆったりとしたレストラン「ブラッスリー」
空港へとつながる3本の通路は徒歩約2分と至近
空港ホテルが背負う厳しい現状
「人と環境に優しい国際空港ホテルをめざす」をモットーに、ホテル日航関際空港が開業したのは1995年のこと。関西国際空港オープンの1年後でした。しかし、関西国際空港の華々しいデビューとは対照的に、今日に至るまでのホテルの軌跡は決して平坦なものではありませんでした。
オープン当初に比べ、関空利用便は次第に減少。空港ホテルの運営は、飛行機のタイムスケジュールによって大きく左右されるため、早朝に飛ぶ便が多いと前泊をしなければならない人々が増え、ホテルは必然的に混むようになります。逆に夕方に立つ便が多くなると、滞在利用者は減ることに。景気の波との闘いだけでなく、こうした飛行便の発着時間の変更が引き起こす、予想もしなかった逆境とも闘っていかなくてはならなかったのです。
ここに泊まることを楽しむゲストを育てる
飛行機のタイムスケジュール変更から生じるダメージには逆らうことはできません。そのためホテル日航関西空港は、翌朝のフライトのために前泊するゲスト以外にも安定した利用客を探さなくてはなりませんでした。そこで目をつけたのが、空港に飛行機の飛ぶ姿を見に来る人々に利用してもらうということだったのです。
関西国際空港に来るには長い橋を渡ります。橋を渡った空港の敷地内で、飛行機の離発着が見える場所はターミナルを除くと、ホテル日航関西空港の一部レストラン、あるいはその客室だけになります。そこで、最上階にあるスカイグリル「ジェットストリーム」を広いスペースに改造。来館する人々が、食事を楽しみながら飛行機の離発着シーンを楽しめるようにしたのです。
日常の喧騒から離れてリフレッシュできるホテル
また海の上にある建物という特別な立地を活かして、市内では味わえない雰囲気を楽しんでもらうためのプランや、滞在している多くの外国人が醸し出す「異国情緒」を楽しむプランなどを作り、ホテルに宿泊することを楽しむリピートゲストを育ててきました。「こんなすてきな場所は他にはありません。豪華な雰囲気のレストランで食事をとったあと、ラウンジでワインを飲みながら夜の飛行機の離発着を楽しんでいると、時間を忘れてしまいます。部屋に戻れば全く騒音のない空間が待っています。日常の喧騒から離れてリフレッシュするのに、これほど適したホテルがあるとは思いもよりませんでした」。多くのゲストから届くようになったコメントの一例です。以前は、主に早朝フライトに乗る人が前泊のために利用するためのホテルでした。しかし、時を経て、ホテル日航関西空港の存在価値は確実に変化を遂げてきたのです。
部屋から見下ろす空港ターミナル
夜は満席のスカイグリル「ジェットストリーム」
部屋のセールスポイントは大きな窓を通して見る風景
2つのビルをつなぐ円盤型の部分がレストランフロア
ゆとりがつくる快適性
万が一のことがあったら大変だから、とにかく早く空港に着いているに越したことはない——飛行機に乗るときは時間に余裕を持って行くのが、多くの人に共通する行動パターンです。電車が遅れたり、車の渋滞にはまったりというリスクを考えて早め早めに出発します。その結果、空港で多くの時間を過ごすことになります。仕事に終われるビジネスマンなら時間が惜しいと感じることもあるでしょう。小さな子供連れなら、気疲れすることも多々あるかもしれません。
ホテル日航関西空港に泊まれば、2分で空港のカウンターに到着します。もちろん歩いていくわけですから、「万が一」を考える必要はありません。ビジネスマンは客室で最後の1分まで仕事ができます。子供が一緒でも気持にゆとりを持つことができます。ホテル日航関西空港は、空港内という特別なエリアで唯一のホテル。この点で、絶対的な優位性を持っているのです。
このホテルにしかできない特殊な楽しみ方
もう一つ、このホテルにしかないこと。それは空港内で一般人が入れる場所として、ホテル日航関西空港の11階が最も高い場所にあるということです。実際に搭乗しない人が空港内で飛行機の離発着シーンを見て楽しむには、このホテルの客室か、もしくは11階のレストランに行くしかありません。搭乗ゲートまで行かない限り、ここを除いて他の場所ではその楽しみを味わうことができないのです。
唯一の場を提供し続けているホテル
こうした類稀な場所にあることを利用して、賢い使い方をするケースもあるそうです。たとえば「あの11階のラウンジでプロポーズをした」というカップルがたくさんいるのだとか。オープン以来「隠れ家」的な使い方をしている人たちも少なくありません。また「いつも旅行に行くときはホテルの駐車場を10日間程度無料で利用しています」というゲストも多数。ホテルが販売している「パーキング&ステイ」という、長期的に駐車場を無料利用できるパッケージを購入しているのです。さらに近頃はホテルを拠点にして、新しい遊びをする人も出てきました。「飛行機を追いかけて青い海を走ったら爽快でやめられなくなりました」。関西国際空港から高速船を利用すれば神戸空港まで約30分。これを利用してクルージングを楽しむのです。実際に飛行機を利用する人にとっても、旅に関係なく飛行場の雰囲気を楽しみたいという人にとっても、このホテルは唯一の場を提供し続けているのです。
夜のスカイグリルの眺めはジェットがばら撒く光の残像
家族用に4つのベッドが入った部屋もあります
飛行機の離発着を眺めながら楽しむ鉄板焼レストラン
シモンズ製のベッドが快眠を促します
空港の雰囲気を楽しむためのホテルの使い方
ホテル日航関西空港は、文字通り関西国際空港と連結しているため、空港カウンターから徒歩2分でロビーに到着できます。部屋数は576。空港エリアなので建物の高さ制限があり、11階が最上階になっています。厳しい規制の中で576もの部屋を有するため敷地面積も広大に。そのおかげで開放感のある広いロビーができあがり、ゲストの目を見張らせています。
空港にある大型ホテルは同じような理由で、ほとんどが広大な敷地を持っています。時には、フロントから客室まで行くのが面倒になることもありますよね。しかし、ホテル日航関西空港は他とは違う、特別な工夫が。なんと空港内から荷物をカートに載せたまま客室まで行くことができるのです。オープン当初は建物にダメージを与えるため、こうしたサービスは禁止していたそうです。しかし「長い距離を歩くのは大変」というゲストの声に応えるため、廊下やエレベータの壁をカートが当っても傷が付かない素材に交換。こうして部屋までカートを移動することを可能にしたのです。
リゾートホテル感覚で楽しむ
部屋にはシモンズ製のベッドにデュベスタイルの掛け布団。ふかふかした気持ちのよい肌触りが快眠を助けます。空港に隣接しているのでフライトの騒音が気になるところですが、全く気になりません。窓が頑丈な二重構造になっているため、外部からの音をシャットアウトしているのです。目の前で大きな飛行機が離着陸を繰り返すシーンを見ていると、サイレントムービーを見ているような感覚にとらわれます。しかも飛行機の騒音どころか、廊下からの音も聞こえてきません。日中に眠らなければならないパイロットやフライトアテンダントが利用するホテルなので、客室廊下ではことさら音に気をつけているのだそうです。ハウスキーパーが使う掃除機も低音タイプのものが用いられていました。
空港リゾートホテル
最上階には広いスカイグリル「ジェットストリーム」があり、爽快な眺めが楽しめます。飛行機の離発着シーンもさることながら、海を越えたはるか彼方に見える淡路島の風景なども感嘆の息をもらさずにはいられない美しさです。都会の喧騒から離れた時間を過ごしたくなったとき、このホテルは最適な空間を提供してくれます。空港ホテルといえば、通常は前泊としての利用しか思い浮かびませんが、このホテルは違います。ムード派の人にとってはリゾートホテルに行くよりもはるかに楽しい思いができる。そんなホテルなのです。言ってみれば「空港リゾートホテル」。世界でもちょっと例を見ない存在かもしれません。