古さを感じさせるライオンの石造
ローマ風の柱が美しいロビーへ続く廊下
落ち着いた色合いのインテリアに心もくつろぐ
館内のライトアップもアンティーク風
小さな扉を開けるとそこには・・・
飲食店や商店が立ち並ぶ庶民的な町、大森。駅に面した大通り沿いにホテルモントレ山王はあります。パッと見はごく普通のビルですが、よく見るとその横にはアイアンでできた門があり、石柱やライオンのレリーフがヨーロッパの雰囲気を醸し出しています。エントランスは小さな2枚の扉。自動開閉式ではなくレバーを手で下ろすレトロなスタイルです。扉を開けたとたん、東京から異国へトリップしたかのよう。目に優しいやわらかな明かりの中に赤いカーペットが敷かれた大理石の廊下が続き、等間隔に配置されたローマ風の石の柱の横には、趣のある椅子がさりげなく置いてあります。
100年の時を経た本物のアンティーク
こぢんまりとしたロビーも、ヨーロッパ風のインテリアで統一されています。壁際には革張りの椅子があり、誰もが気軽に座ることができます。「その椅子は19世紀のイギリス製で、ウイングチェアと呼ばれるものです」。そう教えてくれたのは副支配人の佐藤さん。佐藤さんによると、100年以上の時を経たものだけが、「アンティーク」と呼ばれるのだとか。そして、このホテルに置かれた家具や調度品のほとんどが本物のアンティークなのだそうです。「お客様の中には、家具が傷だらけだといって嫌がる方もいらっしゃるんです」と笑う佐藤さん。古いものなのですから、傷がついているのは当たり前。でも、よく見るとどれもが磨き込まれ、愛情を持って大切にされてきたことがわかります。そんなぬくもりこそがアンティークの醍醐味。ここでは存分に味わうことができるのです。
「おかえりさない」に込めた思い
ホテルモントレ山王は羽田空港や品川に近いこともあり、お客様の半数はビジネスユースなのだそう。「お仕事や東京観光で忙しいお客様が多いため、じっくりお話をする機会はほとんどありません。だからこそ、ゲストがホテルに戻られたときには、家族を迎える気持ちで、おかえりさないとお声をかけています。たった一言かもしれませんが、たくさんの思いを込めています。お客様が、ここを東京での我が家と感じていただけたらと、いつも思っているんですよ」と佐藤さん。ホテルならではのサービスはそのままに、アットホームな心遣いは誰をも魅了し、居心地のよさをつくりだしています。「もう一度泊まりたい」というリピーターのお客様が多いのも納得のホテルです。
1880年にイギリスで作られたビクトリアのソファ
愛らしい石造も19世紀フランス製のアンティーク
シックなイメージの宴会場は一見の価値あり
品数豊富でおいしいと評判の朝食ブッフェ
不思議と長い歴史を感じさせるホテル
ホテルモントレ山王がオープンしたのは1986年ですが、それ以上の時を経てきたような落ち着きがあります。館内に置かれた18~19世紀のトルソーやランプなどのアンティーク、こだわり抜かれたレトロなインテリアなどがひとつとなって、実際に経てきた時間以上の深い味わいを作り出しているのでしょう。こんな独特な雰囲気を古臭いと感じるか、素敵と喜べるかで、このホテルの評価が分かれるのかもしれません。「お客様には、ホテルモントレ山王ならではの味わいを楽しんでいただきたいと思っています。女性のお客様や大人のカップルの方にも、極上のひとときを過ごしていだけるはずです」と副支配人の佐藤さん。「いったいどんなホテルなの」と気になってきませんか? それは実際に泊まって確かめてみてください。
ホテル内を宝探し気分で探索
自慢のひとつである数々のアンティークは、館内にごくさりげなく配置されています。ひとつひとつに名称や来歴などの説明は書いてありませんが、ほとんどの品が「見て、触って、使える」のです。エレベータの床板や客室階の廊下の天井、宴会場のエントランスや宴会場のシャンデリアなど、そこかしこにレトロな装飾が施されています。「あっ、ここもすてき」「こんなところも凝っている」・・・そんな思わぬ発見を求めて、館内を巡ってみるのもこのホテルの楽しみ方。ロマンチックな気分に浸れること受けあいです。スタッフの手が空いていれば、案内もお願いできるそうです。色鮮やかなステンドグラスと組み木細工の床が美しい朝食室での和・洋食ブッフェも、品数豊富でリーズナブルとお客様に好評です。佐藤さんによると、「煮物がいちばん人気」なのだとか。実は朝食を作っているのは本来イタリアンのシェフ。宿泊の際は、ぜひ忘れずに召し上がれ。
女性にうれしい細やかな心遣いが随所に
各室のデスクには、ドライヤーが一台置いてあります。もちろん、バスルームにも。つまり、デスクのミラーの前でも、バスルームでもヘアセットができるということ。椅子に座ってゆっくり髪のお手入れができるのは、なんともうれしいサービス。二人で泊まった場合も、ドライヤーの取り合いをせずに済みますよね。
クローゼットにハンガーがたっぷりあるのも高得点。シングルのお部屋でも、木製の手触りがよいハンガーが4本もあるのです。些細なことですが、ホテルの細やかな心遣いを感じます。古いものや小さなサービスを大切にするホテルモントレ山王。ビジネスユースだけでなく、休日を過ごすためにも活用したいホテルです。
スタンダードツイン。ベッドはシモンズ製
細やかな細工がかわいらしい壁のフック
やさしく時を刻む、木製の壁掛け時計
コンパクトにまとまったシングルルーム
南欧テイストで統一されたインテリア
初めてホテルモントレ山王の客室に入ると、驚く人もいるかもしれません。床がありきたりなカーペットではなく、テラコッタのタイル張りなのです。寒々しく感じそうですが、夏は涼しく冬は暖かいという優秀な素材。天然の温かみがある色合いが、南欧調のインテリアにぴったりと合っています。小ぢんまりとした室内は、同じく南欧テイストでコーディネートされています。備え付けのキャビネットやテーブル類は、傷だらけ。使い古された感じは否めないでしょう。ところが、これらの家具も正真正銘のヨーロッパのアンティーク。長い時間を経て大切に使いこまれてきた家具ならではの、味わいがあります。
引き出しの取っ手や壁のフックなどの建具類も、渋みがかったゴールドのヴィンテージ風。ミラーも鏡面にカットを施したレトロな雰囲気です。バスルームへ続く木の扉にはすりガラスがはめ込まれ、シンプルな白いカーテンで覆われています。シックなインテリアは、まさに大人の空間。まるで西洋の古いプチホテルに滞在しているかのよう。窓の外の景色、庶民的な大森の町ではなく、スペインやパリのように見えてくるから不思議です。
スイートのバスルームで夢を見る
スタンダードの客室も素敵ですが、女性なら、スイートルームやデラックスルームのインテリアも見逃せません。猫足のテーブルやキャビットは、子供のころに読んだ外国の童話の世界そのもの。派手さはないけれど「フランスのおじいちゃんの家に来た」みたいな愛らしさがあるのです。バスルームも必見です。大理石の洗面台には、陶製の洗面ボールが埋め込まれています。縁に細かなフリルが寄せられた洗面ボールは、かわいらしさ満点。ぽってりとしたフォルムの蛇口、装飾が施された照明など、女性をうっとりさせるインテリアであふれています。ここで時間を過ごせば、気分はまさに小公女です。
アナログな空間の中で過ごす至福のとき
ホテルモントレ山王にある時計は、ほとんどがアナログ。室内にはカチッカッチと時を刻む小さな木製の壁掛け時計があるのみ。便利だけれど無骨なデジタル時計は置いてありません。とはいえ、ビジネスユーズのお客様が多いのも、ホテルモントレ山王の特徴。全室に有線LANとケーブルが用意されています。アンティークのテーブルでのデスクワークは、サクサクとはかどりそう。実際、「この部屋にいると落ち着いて仕事ができる」と好評なのだとか。最新鋭の設備や機器はないけれど、そこには温かなぬくもりと落ち着きが。そして、ゆったりとした時間をつくりあげていこうという、ホテルのポリシーが確かに感じられるのです。