散歩圏内、夕暮れの東寺に雁がゆく
国宝、西本願寺の唐門へも徒歩で
エントランスの植え込みに新撰組の碑
ゆったりとしたロビーラウンジ
大スター京都に甘えず
京都という土地は、やどにとってやっかいな場所のようです。「やっぱり滞在時間が短くなりがちです。ここに来て、ずっとホテルにいる…という方はほとんどいらっしゃいませんし…」。リーガロイヤルホテル京都宿泊部宿泊予約課スーパーバイザーの田辺一雄さんからそう聞いて、ああなるほど…と思いながら、まだどこか疑問を解決しきれずにいると、「だから…それほど努力しないでも、ある程度お客さまが来てくださる…そういう面があるのです」。
日本を代表する観光地のスーパースター。国内はもちろん、世界中から憧れられる存在。圧倒的な歴史の厚み。観光スポットの多さ。京文化の華麗さ。そう言われれば、たしかに日々押し寄せるお客さまに対応するのが精一杯で、自らを振り返っている余裕などなかなか持てそうもありません。事実お客さまは引きも切らないのだし…。なぜそんな書き出しをしたかというと、ここリーガロイヤルホテル京都が、現状に満足せず、本当に驚くほど細かい努力を積み重ねているから。チェーンホテルは独自性に欠けると思っていたら、このホテルの場合、それはとんでもない誤解です。
ご近所に世界遺産が2つも!
京都駅から専用の送迎バスで数分。徒歩でも約7分という至便な堀川塩小路交差点の一角に、リーガロイヤルホテル京都はあります。「世界遺産がご近所に2つもある、というのは有り難いですね」と田辺さんがおっしゃるように、教王護国寺の名でも知られる「東寺」、通称“お西さん”として親しまれる「西本願寺」。どちらも徒歩圏で、散歩がてら気軽に寄れるロケーション。夕刻、沈みゆく太陽に強いコントラストを描く東寺の国宝五重塔を眺めていると、巣へ帰るのか雁が視界を横切っていく…。まるで絵はがきのような光景。なんて贅沢なことでしょう。また、ホテルの敷地は、新撰組が屯所を置いていた場所とのことで、石碑も置かれています。こんなところでも深い歴史の側面がうかがえる。やはり京都、至るところに日本の足跡が刻まれています。
“非常に快適なホテル”の所以
そんな地の利を活かしながら、近藤勇の碑を包むようにエントランスには竹が植えられ、入口両脇にはしだれ桜。季節には可憐な花がお客さまを歓迎します。ロビー脇のラウンジには三輪良平画伯による“画舞妓群像”が描かれ、精巧な山鉾の縮小モデルも飾られている。館内のあちこちには見事な盆栽が。「スタッフが趣味で育てているのを勝手に置いているようなものですよ」と田辺さんは笑いますが、なかなかどうして。さまざまな場所で京都らしい雰囲気が味わえます。それも、まずスタッフの方々が、ホテルを楽しんでいる印象。その笑顔がお客さまに伝わって広がっていく。こういった積み重ねが、「ミシュランガイド2010 京都・大阪」で“非常に快適なホテル”の称号を得るにつながったのでしょう。
京の街を一望するベストロケーション
「グルマン橘」で京都ならではの懐石フランス料理を
ミシュランで星を獲得した京料理の名店「たん熊 北店」
シックな雰囲気で本格広東料理を味わえる「皇家龍鳳」
食事が、本当に嬉しい悩み
困ったことがあります。京都に来たら、街に繰り出して古都のグルメを満喫したい。けれど、このホテルのレストランも、かなり捨てがたい…。すごく贅沢な選択を問うのも、リーガロイヤルホテル京都の一面です。
まずは古都の街並みを一望できる京都唯一の回転展望式フレンチダイニング「トップオブキョウト」。一周約60分から90分ほど、つまり食事の時間中に360度のパノラマを楽しめる設計です。フランスの3つ星レストランで修行したシェフが奏でる本格フレンチの交響詩。雰囲気はシックな大人の空間。昼は爽やかな光の中で、夜はロマンチックな京都の夜景とともに、最高の味わいが楽しめます。スイーツのワゴンサービスなども好評です。「五山送り火の日は『来年も頼むね』とその場で予約を入れる方が多く、超予約困難なんですよ」。
フレンチはフレンチでも懐石フランス料理を標榜するのが「グルマン橘」。四季折々の京野菜や産直の魚介を取り入れた料理で人気ですが、京都鷹峯の樋口農園でシェフ自ら収穫してくる新鮮な素材をつかったメニューは、思い入れが味に乗って、これはもう絶品。「冬の朝、野菜を獲りに行くのは本当に寒いんですよ…」と語る今野シェフとのおしゃべりも、京野菜のブリュレなどの珍しい料理も楽しい、カウンター席のお店です。1軒目にはもちろん、ワインと楽しむ2軒目にもどうぞ。
和・洋・中、ハイレベルな楽しみが夜更けまで
「コーヒーハウス コルベーユ」は、その名前とのギャップに驚く色とりどりブッフェのレストラン。メニューは約70種で、京都ならではの“おばんざい”もラインナップ。夜は季節ごとにテーマを設定し、いつも新鮮な味わいを提供しています。不定期ですがデザートバイキングの開催も。
さらに、贅を尽くした本格広東料理をモダンな空間で味わえる「中国料理 皇家龍鳳」、京の町屋をイメージした落ち着いた店内の「鉄板焼 葵」、ミシュランで1つ星を獲得した京料理の「たん熊 北店」などの名店から、スペイン調の重厚な装飾が施されたメインバーの「グラナダ」まで、じっくり夜遅くまで楽しめるレストランが勢ぞろい。よそのホテルからリーガロイヤルホテル京都まで食べに来る人もいるというのも納得です。
365日の京都が楽しめるホテル
施設の充実、食の競演。365日の京都が楽しめるリーガロイヤルホテル京都。こうしたことから、カップルやご家族、女性同士の旅も多いのですが、最近増えているのが両親に旅のプレゼントをする、というスタイルだそうです。考えてみればリーズナブルに思い出を贈れるナイスなアイディア。自分のために、誰かのために、とびきりの京都がここにあります。
枯山水の石庭をモチーフにしたカーペット
アイアンワークはすべての部屋ごとに手づくり
京の“みやび”を存分に表した客室
畳のリビングを持った客室は外国人に人気
“日本の伝統美”を、そこかしこで表現
京都に来る人が何を求めているか。海外からにせよ、国内からにせよ、ほとんどのゲストは“日本の伝統美”を求めて来るのでしょう。その意味では目的は明快です。宿もそれに合わせればよい…はずなのですが、ことはそう簡単ではないようです。伝統美と言っても多種多様。ある人は美食を。ある人は景色を。またある人は所作の美しさを指します。しかも相手はゲストの想像力。勝手に膨らんだイマジネーションは、少しの期待はずれで大きく傷つきます。何がゲストの求める日本の伝統美なのか。考えれば考えるほど難しいテーマです。
ホテル中に京都を感じる演出が
「だからゲストの反応には過敏になってしまいますよね」と苦笑するリーガロイヤルホテル京都の田辺さん。エレベーターから部屋に入るまでの間も京都を感じる演出が施されています。フロアごとに“枯山水”“茶畑”“石畳”とテーマを分けて構成。サイン類も変えているというから芸が細かい。部屋の入口を飾るアイアンワークもすべて職人の手造りで、記念に持ち帰りたいけれど売っていないのか?と聞かれることも多いとか。また、喫煙室と禁煙室が混在するフロアには、年に2回趣を変えるというほのかなアロマの香りが。スタッフはわざわざ資格まで取ったというから感心しきり。
この快適さ、心遣いが、一人ひとりの私のホテル
客室に入ると、さすが京都のホテル。窓は障子のデザインを踏襲し、さながら谷崎潤一郎の『陰翳禮讚』の世界。ランプシェードや装飾などにも和のテイストが取り入れられているほか、鏡が女性にうれしい三面鏡だったり、ベッドは羽毛布団の寝心地が抜群のデュベスタイルだったり、快適さへの気配りが随所に。かと思えば、部屋によってはハイテク大国ニッポンの側面も。TV付きバスルームには多機能シャワーが採用され、高度に進化した日本のお風呂技術を目の当たりにできます。備え付けの歯ブラシやカミソリもコストをかけて向上させるなど、小さな配慮にも感激です。
くわえてソフト面でも、とくに力を入れているのが「お客さまと一緒に特別な旅をつくりあげる」ことと「面倒くさくないホテルの実現」。前者は、たとえば記念日旅行の際、お客さまと一緒にさまざまなサプライズを検討。全社一丸となって感激の演出に汗を流します。傘寿の祝いにケーキを原料から工夫し開発したこともあったとか。また後者はお客さまの好みなどをデータベース化することで各スタッフが情報を共有し、スムーズな対応を実現。そのたびにあれこれ言わずとも自分の好みをわかってくれていたら、それはずいぶん気が楽なことでしょう。一人ひとりの私のホテル。それがリーガロイヤルホテル京都なのです。