「ザ・メイン」の客室から見渡す眺め
ロビィ階には数多くのショップやレストランが
広大な日本庭園はパワースポットとしても人気
バスルームにも芸術作品が
こんなロケーション、他ではありえない
晴れ。窓から見る空に、正面の新宿高層ビル群が強く輪郭を描く。手前には都心とは思えない森。芝生の繁る場所には青と白の幕が張られ、正装の人々が集っている。「ああ、秋の園遊会ですかね」。そういえばロビーでモーニング姿の人を見かけた。すぐ近くに迎賓館。ホテルや旅館などが格付けの意味で名付けるソレでなく、日本国公式の本物である。こんなものを見下ろしていていいの?と、何だか不思議な気分にさせられるここは、ホテルニューオータニ「ザ・メイン」の客室。「もっと天気が良ければ富士山も見えますよ。神宮の花火大会では超特等席です」と広報マネージャーの八代隆行さん。夜景なんかも絶景でしょう。
眺望もさることながら、実際に使うためのロケーションとしても別格。銀座、六本木、青山、渋谷、そして地元の赤坂・・・。どこに行くにも好アクセス。そのうえ都心で一番贅沢な緑に囲まれている。ビジネス、観光、どれをとっても、これほどおいしい場所は見あたりません。それなのに、どうにもホテルから出られない。そんな声もしばしば聞こえます。
ようこそ、美食と芸術文化の迷宮へ
延べ床面積じつに東京ドーム6個分以上。この圧倒的な広さの中には、フレンチの「トゥールダルジャン」や寿司の「久兵衛」など、超がつく有名店ほか、フォーマルからカジュアルまで39軒ものレストランが。ホテル内にはには各種のショップが130軒以上。さらにこの地が加藤清正公の江戸屋敷だった頃を思わせる日本庭園は、四季折々で趣を変え、初夏には蛍も飛び交う環境。木々からはフィトンチッド、滝からはマイナスイオンで、近年パワースポットとしても注目を集めるほど。その庭園の中にもレストランがあって・・・と、食事だけ考えても、堪能し尽くすのに何日かかることか。
またここは芸術文化の味わいも絶品。「ガーデンラウンジ」に掲げられた巨大な絵は、奇才ビュッフェの作品。ニューオータニの建物を中央に配した構図で、当然一点物。どれだけの値がつくかわからないほどです。「バー・カプリ」には、アイズピリによる7点連作の“カプリ島シリーズ”。さらに極めつけは、併設のニューオータニ美術館。名高い大谷コレクションからの展示に加え、さまざまな企画展も楽しみ。あらゆる場面で芸術と文化を感じさせます。
知ってるつもりじゃ、もったいない
言わずと知れたホテル御三家のひとつ。名門の名に異論を差し挟む余地がないのは、伝統や風格もさることながら、あらゆる意味で「いいホテルの条件」をすべて備えているからでしょう。立地しかり。過ごし方の多彩さしかり。でも、あまりにも有名ゆえ、つい“知ってるつもり”だったかもしれません。贅沢さと快適さを極限まで高めた、ここは理想の“街”。この一流体験は、人生に必要なこと。そう思えてくるに違いありません。
一度は訪れたいトゥールダルジャン
戦火から逃れるため埋められた「フランス人の魂」たち
眺望も味も素晴らしい中国料理Taikan En
巨大チャイニーズオーブンも必見のトレーダーヴィックス
日本でいちばんおいしいホテル
「日本でいちばんおいしいホテル。そこには自信があります」。マーケティング課の森谷真二さんは、そう胸を張ります。ここに名前を連ねるレストランを見れば、誰もが目を輝かせるか、もしくは絶句するはず。なにしろ稀代の名店がずらり。
フレンチ「トゥールダルジャン」と和食「久兵衛」
まずはフレンチから「トゥールダルジャン」。パリ本店の開業は1582年で、日本では本能寺の変があった年だというから驚き。国王アンリ3世の贔屓になり、上流階級の社交場として発展した“フランス料理の歴史そのもの”とも謳われる名店中の名店。1984年に世界初の支店として東京店がホテルニューオータニにオープンしました。鴨料理で知られ、1921年にパリ本店を訪れた昭和天皇(当時は皇太子)が召し上がった鴨が53,211羽目だったことにちなみ、東京店では53,212羽目からサーブされているとのこと。エントランスを入ると、有名な「三皇帝の晩餐」当時のテーブルセットが。ドイツ軍のパリ侵攻時に隠されたワインのボトルが。さらに…と物凄い歴史の圧倒。こういう超一流、せめて一度は味わっておかないと!パリ本店から直送された常時35,000本所蔵の日本随一のワインセラーも圧巻。日本1位・2位のソムリエもいて最高の時間が味わえそう。
和食も、約5割を占める外国人のお客さまの期待に違わぬよう超ハイレベルなお店が集結。かの美食家であり芸術家の北大路魯山人に愛され、多くの外国要人も舌鼓を打った「久兵衛」。東京サミットの公式晩餐会も開かれた「なだ万」の本店・山茶花荘。他にもさまざまな名店がずらりとラインナップ。各国の舌をうならせています。
本格上海料理のほか、楽しいコンセプトレストランも
中国料理からは「Taikan En」。本格上海料理の名店です。中でも気仙沼産の原ビレから手がける名物のフカヒレは、落涙モノのおいしさ。黒岩利夫料理長以下、中国から招聘した点心師や焼物師が腕をふるった美味を、素晴らしい眺望の中で味わえます。50年のビンテージ紹興酒も、なかなかお目にかかれない逸品。
楽しいコンセプトレストランもご紹介。元貿易商のオーナーが世界中を旅して探し当てたおいしいものを一堂に集めた「トレーダーヴィックス」。サンフランシスコに本店があり、かの有名なトロピカルカクテル“マイタイ”発祥の店としても知られています。お店の雰囲気も怪しい貿易船みたいでグッド。
さらに地上144mの摩天楼イタリアン「ベルヴュー」は、高温の紀州備長炭と調整用の人工炭の二刀流で焼く炭焼きグリルが売り。加えてパティスリーSATSUKIは、あえて“スーパー”と名付けるショートケーキがホントに絶品!本当に「おいしいホテル」なのです。
ザ・メイン最高峰。プレジデンシャルスイート“広重”
大きな窓が開放感のあるザ・メイン デラックスツイン
コートダジュール風のガーデンタワー デラックスツイン
オール電化でスマートに変身「THE Sky」
いつもニューであるために、進化し続けるホテル
漫画家の石ノ森章太郎氏は代表作「HOTEL」の着想について、キャラクターに頼らない作品を描きたかった、と語っています。主人公を決めず毎回話が変わる。その装置にはホテルが一番いい。作品のモデルとも言われるホテルニューオータニでは、一人ひとりのゲスト=役者にとって最高のドラマを演じる舞台であるよう、日々模索中とのこと。「じつは・・・ニューオータニの『ニュー』は、いつも新しい、という意味なんです」。だからこそ、老舗でありながら、恐れずにチャレンジする文化があるというわけでしょう。
開業は1964年9月1日。オリンピックの開催に向けホテルが足りない・・・との要請に応えて準備に入ったのが約17ヶ月前だったそうです。この短工期で世界中からの来客に応えられるのか。「ホテルのプロだったら無理と言っていたのでしょうね」。奇跡を現実にできたのは、固定観念では思いつかない発想だったと言います。いまやおなじみの“ユニットバス”も、このときの発明だとか。また、日本初のカーテンウォール工法が採用されたのも、ホテルニューオータニなのだそうです。
みんなで考えていったら、エコになった
そして2007年10月にリニューアルを終えた「ザ・メイン」の客室。よりシックに都会的に。和のデザインを取り入れ印象的に。このときもニューオータニは発明をします。それまで難しかった客室単位での空調管理を可能にし、エネルギー消費やCO2排出の大幅削減にも通じるシステムを開発。それを「他のホテルさんにも使っていただければ」と公開していくとのこと。さらに天井から足もとまでのフルハイトウインドウに。昼は明るく、夜は全面で夜景を楽しめるうえ、熱や紫外線を50%カットするエコガラスを採用したのです。また、窓を開けずに外気が入る通風口を設け、喉のトラブルを防いだり。スタイルだけでなく、快適にするための工夫が多く取り入れられています。
いつも“新しく”あるために
まだまだあります。ザ・メイン最上階の360°回転展望レストラン「VIEW & DINING THE Sky」では、和・洋・中あらゆるメニューを提供するステージキッチン各専門ブースのすべてを“オール電化”に。熱を料理にだけ振り向けることで空調への負担が大幅に少なくなるうえ、その場でシェフと会話しながら食べる量だけサービスすることで「食べ残しが大幅に減りました」。また、生ゴミを100%リサイクルし、その堆肥で農作物を育てる循環システムも。「うちは何でもみんなで考える文化なんです。だから意外にマニュアルが薄いんですよ」。いつも“新しく”あるために、動き続けるから、なのですね。