どこまでも青い空と海をテラスから眺める
全99室のうち76室がゆったりとしたバルコニーツイン
ヨットハーバーを一望するチャペルでウエディングを
思わず息を呑む夕焼けに時間を忘れる
大人のおとぎ話のようなヨーロッパ仕様のリゾート
ヨットのマストが風にあおられてカランカランと乾いた音を立てる。午後のやわらかな日差しを浴びて水面に光のつぶがきらめいている。そうか。青の純度が違うんだ。湿度の低い、さわやかな青。海外の写真集で見たようなマリーナの風景。ゲストルームのテラスにティーカップを持ち出して、そんなシーンをぼんやり眺めている。ここはどこ?そう、まぎれもなく日本。和歌山マリーナシティに位置する「和歌山ロイヤルパインズホテル」には、大人のおとぎ話のような世界があります。
「こんなに近くにこんなに美しいリゾートが」
JR紀勢本線「海南」駅からバスかタクシーで約10分。世界リゾート博も開催された和歌浦湾に浮かぶ “和歌山マリーナシティ”に、海と空のブルーと対照的なカナリアイエローの印象的な外観が姿を現します。隣接の欧風テーマパーク「ポルトヨーロッパ」のイメージに合わせた、南イタリアのリゾートのような洗練された建物です。
「関西エリアのゲストが比較的多いのですが、『こんな近くにこんな(外国みたいな)場所があったのか!』と驚かれることが多いですね」。アシスタントマネージャーの成田羊右さんが言うように、そのロケーションや外観もさることながら、館内も、客室も、こだわりを貫いています。コンセプトは“日常の中の非日常”。建築にあたってイタリア視察を実施。フィレンツェにあるポンテ・ヴェッキオを再現すべく、わざわざ敷地の中に橋をつくったり…と、その徹底ぶりはまさに圧巻です。
みかんのように素朴で美しい夕暮れに感動!
けれど、このリゾートの“売り”は、なんと言っても景色。とくに夕暮れの美しさは必見です。ぬけるような青を序章に、少しずつ赤味を加えながらグラデーションを描き、燃えあがるオレンジ色のクライマックスへ。海面への映り込み。停泊するヨットのシルエット。舞台美術は荘厳の極みを演出します。そしてやさしく紫から藍へ変化するフィナーレを経ると、第二幕の主役は満天の星たちへ。あまりにドラマチック。和歌山県で初めて「恋人の聖地」に選ばれたのも納得です。そして、この神秘劇を鑑賞するために、和歌山ロイヤルパインズホテルは西に窓を開け、ほとんどの客室にテラスを設置。さらに大人2人がゆったり入ることのできるバスルームからも眺めを堪能することができます。
開放的な雰囲気のカーロ・エ・カーラで本格イタリアン
いつもより時間をかけて味わうのがリゾートの流儀
本格会席料理が楽しめる四季彩には座敷の個室も
紀州の味わいを中心に旬を存分に楽しむ
世界レベルの味と楽しさを求めて
「食のロイヤルパインズホテル!がスローガンなのです」と成田アシスタントマネージャーが胸を張るように、洋、和、2つのレストランとカフェが高いレベルでしのぎを削っています。しかし、この場所で世界ランクの料理が味わえるなんて、正直予想外でした。
ヨットハーバーを臨むガーデンに面した「カーロ・エ・カーラ」は、オープンキッチンの本格イタリアンレストラン。コンクール優勝経験もあるシェフが趣向を凝らした料理は、地元食材をメインに素材を活かすスタイル。ワインもオーソドックスからマニアックまでラインナップされ、近ごろは穴場的なシチリアワインがおすすめとか。なるほど、あまり見かけないラベルがたくさん並んでいます。ホテルのレストランながら、気さくに楽しめるのもうれしいところ。
対して欧風ホテルなのに和食もこのハイレベル?と驚嘆するのが「四季彩」。老舗料亭「なだ万」で修行し、世界中のVIPが訪れることでも知られる「新ばし金田中」の料理長を務めたマエストロが、地元紀州和歌山産の海の幸を中心に腕をふるいます。「食材は季節を運んでくるもの」と、市場で天然物の初競りが始まるまでは使わないという旬へのこだわり。灰干し秋刀魚など和歌山特産の味も堪能できます。通に人気の紀州地酒も豊富で、ああ、まさにしあわせな時間…。
紀州の地の利を味わい尽くす
「和歌山は海にも山にも恵まれた土地。だからいい食材がリーズナブルで、内容の濃い食事が提供できるのです」。確かにそのコストパフォーマンスの高さたるや、よそではなかなか味わえそうにありません。マグロ、カツオ、ハモなどの豊富な魚介類をもたらす黒潮。古くは“木の国”と呼ばれたと言われるほどの山林。果樹王国とも称され、みかん、はっさくなどは全国一の生産量を誇ります。名高い南高梅は梅酒や梅干しに大人気。加えて紀州備長炭で海の幸を焼けば、まさに究極の味わいです。さすが紀伊徳川家のお膝元、レベルが高い!
“性格の明るい”ホテル
そうそう。果樹王国と言えば、スイーツの充実もホテルの自慢。ロビーにあるカフェ&ベーカリーの「カテリーナ」では、和歌山の厳選素材を使い、やわらかい生地で特製の生キャラメルと生クリームをくるんだ“花蜜ロール”が人気。「マスコミでも取り上げられ、おかげさまで連日完売です」と教えてくれたのは企画課の花蜜理絵さん。この名前はもしや?「私がいちばん試食したからつけてもらいました(笑)」と茶目っ気たっぷりに答えてくれました。
明るい環境に加え、ホテル内にも明るい空気が漂っている。リピーターが多いのは、こうした“ネアカさ”が愛されているのでしょう。
心地よい潮の香りにすっかり脱力の黒潮温泉
紀州の名品を集めた黒潮市場ではつい買いすぎて…
街並みも美しいポルトヨーロッパは老若男女が楽しめる
今まで見た花火はなんだったの?と口を開けて眺めて
「それ以外」の充実度もスゴイ!
チェックインすると手渡されるチケット。その一枚は、隣接する「黒潮温泉」の入浴券。約一億年前、ティラノサウルスが地上をのし歩いていた時代の地層からくみ上げた源泉を使ったお湯が楽しめる温泉施設です。展望露天風呂から和歌浦を一望しつつ、ゆーーーーっくりと深呼吸すれば、日常がドッと流れ落ちていくよう。
ヨーロピアンリゾートに純和風の温泉
お風呂と言えば、館内の個室貸切温泉も絶対チェック。えっ、ヨーロピアンスタイルに純和風の温泉?というのが、これまたうれしいところ。たっぷり60分の時間制。木の香りに包まれていると、まるで温泉旅館に来ているのでは?と錯覚するほどのレベルの高さ。チェックインして黒潮温泉、食後にゆったり貸切温泉、朝は部屋から海を見つつまったり…なんてお風呂ざんまいコースもおすすめ。
ひと風呂浴びたら「黒潮市場」を覗いてみましょう。その名のとおり当地ならではの海の幸が豊富な海鮮テーマパーク。まぐろの解体ショーが人気ですが、紀州のさまざまな特産品なども目移りして困るほど! 昭和の市場をイメージした活気あふれる空間で、ひやかすだけのつもりでも知らず知らず両手いっぱいに買い込んでいたり。その場で食材を選んでシーサイドバーベキューも楽しめます。
ホテルから見て黒潮市場の手前が「ポルトヨーロッパ」。欧州の街並みを再現したロマンチックなテーマパークで、アトラクションに興じたり、散策を楽しんだり。カップルやお子さま連れはもちろん、幅広い層に人気。これら周辺施設の多くは関連事業なので連携も抜群です。
まるごとエンターテインメントなリゾート
和歌山マリーナシティのイチオシイベントが季節ごとに行われる花火。音楽に合わせて約6000発を数十分で一気に打ち上げるという超ハイテンション。「人気テレビ番組『ベストハウス123』でも紹介され1位を獲得しました」というほどで、頭上に上がる迫力は圧倒的です。この時期は本当に予約が困難だというから早めのチェックを。
「ホテル事業には、ポルトヨーロッパの世界観を踏襲しつつ、エンターテインメント精神も取り込んでいます」と成田アシスタントマネージャー。他にも、プールサイドでは夏場ビアガーデン&バーベキュー、さらにはDJステーションを設置して客室からリクエストを受け付けて流したり。朝は大量のシャボン玉をつくって子供たちがびしょびしょになりながら遊ぶ光景も。魚の餌やり体験も人気だとか。若いスタッフが多く、伝達と実行が素早いからできること。何度来ても新しい発見があるホテルです。