シンプルなロビー空間
ファミリーをターゲットとしたトリプルルーム
ホテルの最上階でバランスのとれた朝食を
モダンなエントランス
全国に広がりつつあるホテルチェーン
地下鉄三宮駅から徒歩数十秒という絶好の場所にあるホテル、ザ・ビー神戸。既存のワシントンホテルを買収し、2006年にリニューアルオープンしたものでした。世界的なホテル運営会社であるグローブ・インターナショナル・パートナーズとウェストモント・ホスピタリティー・グループの共同出資のもとに設立されたホテルマネージメントカンパニー、イシン・ホテルズ・グループ。ザ・ビーはこの会社が設立した新しいブランドです。現在、神戸の他に、六本木、赤坂、三軒茶屋、お茶ノ水、池袋、名古屋、博多とそのホテル数を拡大させています。
既存の建物をザ・ビーに改装するにあたっては、多数の部屋の壁を取り去って面積を広げるとともに、レイアウトと色彩も一新。外観も中身も全く新しく生まれ変わり、合計で158室を保有するホテルとなっています。
気前のよさがよろこばれる秘訣
「私どものホテルではとくにチェックインタイムを気にしていません。時間に関係なく部屋があるかぎり、チェックインをしていただくことができます」と、ホテルの支配人が言います。チェックインカウンターには3人のスタッフが常時待機しています。158室のホテルならば十分な人数ですが、さらに、なるべく混雑を避けるため、部屋の用意が整っていればチェックインが可能となるようにしているわけです。これは利用する側にとっても大変ありがたいこと。また、嬉しい無料サービス施設も多数用意されています。ロビーには大きなコーヒーメーカーとカップがあり、誰でも自由にコーヒーを飲んでくつろげるようにセッティング。無料で利用できるインターネットコーナーもあります。「ロビー空間を利用して、少しでもホスピタリティを表現したいと思っているのです」と支配人。さらに驚いたことに、3階にある洗濯機まで、滞在ゲストは無料で利用できるのだそうです。
ファミリーも主たるターゲット
繁華街の中心に建つ小規模なホテルということで、寝ることだけを主たる目的とするビジネスマンをターゲットにしているのかと思われがちですが、実は友達同士や家族で泊まれるお部屋もたくさん用意されています。ここは158室のうち、120室までがツインベッドのお部屋なのです。そして、このタイプのお部屋の中には、ベッドの下にスライド式のサブベッドが収納されていて、必要に応じて3台ベッドのセットが可能に。
まだオープンしてから3年しか経っていないというのに、すでにファミリーのリピーターも増えていて、ビジネスでの利用が少なくなる週末や連休時も高い稼働率を保っています。ロケーションと料金から判断すると、単なるビジネスホテルのような印象を受けがちですが、このホテルはそれだけでは終わりません。幅広いゲストに対応でき、なおかつ好評を得ているホテルなのです。
ロビーの左手には、無料コーヒーマシーンが
完全に光をシャットアウトするシェイド(日除け)
全室に無料のティーセットがついています
ハリウッドツインのファミリー向けルーム
お客様に還元するシステム
ロビー階にある無料のコーヒーメーカーとパーソナルコンピュータ。3階の無料で利用できる洗濯機。さらにお部屋に置かれているコーヒーと紅茶など、他のホテルなら有料でもおかしくないサービスをすべて無料にしているザ・ビー神戸。にもかかわらず、決して価格が高いというわけではありません。どうしてこんなにも気前よく無料のサービスを提供することができるのでしょうか。その背景には、さまざまな面で経費を軽減し、生産性を上げるシステムができているのです。
お部屋の簡素化が生み出す高い生産性
ベッドは軽く、スムーズに動かせるようになっているため、ベッドの下も容易に掃除機をかけることができます。バスルームはユニットバスかユニットシャワーブースで、共にファイバー製。汚れ落ちがよくお手入れも簡単です。こうした内装により、ハウスキーパーが一部屋あたりにかける清掃時間が短縮され、経費も削減されます。カーペットにしみがついたら、その部分だけを交換すればよいわけですから、時間をかけてクリーニングする必要もありません。こんなことも経費節減に結びついているのです。さらに、このホテルはベルマンもドアマンも置かれていないので、スタッフの数は必要最低限でOK。人件費の無駄が全く生じない経営が可能になります。
経費をかけずにレストランを用意する建築構造
ホテル直営のレストランはありません。とはいえ、1階に入っているレストランは、ホテル内ダイニングのような感覚で利用することができます。実際にホテルが用意する食事といえば、最上階の宴会場にセットアップするブッフェスタイルの朝食だけ。レストランを持たないことで、経営状態が悪いときの赤字を負わずにすみます。滞在ゲストは同じビルの中に種類の違うレストランがいくつか入っていれば、食に対する不便はいだきません。もとより、ここは商店街の中心地。たくさんのレストランに囲まれていますから、そもそもレストランを運営する必要性などないのでしょう。
恵まれた環境の中で、ホテルとして必要とされることだけに集中して業務を行う。それが経費を軽減し高い利益を生み出す。そしてその分、無料のサービスをゲストに還元する。それが嬉しくてリピートゲストが育つ・・・という、実に優れた顧客獲得システムを有するザ・ビー神戸。これこそが、このホテルが最も自慢できるところなのです。
スペースを最大限活かすためのバスルーム
座れる構造になっているシャワーブース
快適に眠るためのベッド
常にきれいな状態のカーペット
これまでの常識では測れないホテルの誕生!
ザ・ビー神戸の客室に入って驚かされるのは、おそらくシャワーブースの形でしょう。ここのワンランク上のカテゴリーでは、バスルームにお湯をためるためのバスタブがないのです。ただ、円筒形に近いシャワーブースがあるだけです。よく見ると、中に段が設けられていて、ここに座れるようになっています。扉を閉めて段に腰をかけ、シャワーを出してみる・・・すると、中は次第に蒸しサウナのような状態に!湯船がなくても、こうして快適なバスタイムを楽しめる仕組みになっているのです。
支配人によると「実はシャワーブースしかないお部屋はスーペリアプラスのカテゴリーでだけで、値段も高いのです。最初はシャワーだけのお部屋は敬遠されていたのですが、このシャワーブースのよさを理解していただくために、しばらくの間、スタンダードカテゴリーとの値段の差をほんのわずかにしてご提供させていただいたのです。すると、急に人気が出だして・・・。今では多くのリピーターにご利用いただいております」。ここは単なる「シャワー室」ではありません。くつろぎの空間をつくりだすユニークなブースなのです。
清潔感溢れる客室
室内はとてもシンプル。家具や調度品で隠れた部分がなく、腰を曲げればベッドの下まで見渡すことができます。ものがベッドの下に転がっていってもすぐに見つかるし、掃除機でのクリーニングも容易です。通常のホテルのお部屋ではなかなか処理できないハウスダストや、アレルギーを誘発する物質の処理もこうしたレイアウトなら安心。もちろん、カーペットにはしみひとつついていません。よく見ると、一辺が40センチ四方の小さなカーペットのコンビネーションになっています。汚れたときには、その部分だけを交換することで、常に清潔なフロアを保てるというわけです。
快眠のためのきめ細かなこだわり
ここは朝になっても外光が全く入って来ないのも特徴のひとつ。シェードは磁石を使って隙間なく窓をふさぐ仕様になっています。また、2つ用意された枕のうち、一つはかたく、もう一つはやわらかい素材。ゲストはその時の気分で選ぶことができるのです。つまりここは、ただ寝るだけでなく、より深くより心地よい睡眠を求める人のために造られた部屋。オープンしからわずか3年。ザ・ビー神戸が多数のリピーターに愛されている理由が、こうしたところからもうかがえます。