戸田港からは車で5分ほどの高台に位置しています
ロビーにて、駿河湾を眺める
情緒溢れる廊下を通り抜けて…
部屋は数寄屋造りの料亭をイメージ
ホワイトマリンを利用したアクセスでクルーズ旅を満喫
伊豆急行・修善寺からバスで約50分の戸田港を見下ろす高台に位置する「御宿きむらや つわぶき亭」。お世辞にも交通アクセスがいいとは言えません。だからこそ道中に「船旅」を取り入れてみてはいかがでしょう。
というのも、東海道線・沼津駅からバスで約10分の沼津港から「御宿きむらや つわぶき亭」が位置する戸田港までは、戸田運送船が運航する高速船「ホワイトマリンⅡ」で30分程度の距離。夏ダイヤでは1日5便、春・秋・冬ダイヤでは1日4便(沼津港発)というスケジュールに合わせれば、沼津から1時間程度の時間で到着するのです。
この移動を旅と考えれば、いわばクルーズ。富士山を背に「旅に来たぞ~!」とはしゃいでいる間に戸田港に到着してしまいます。わざわざクルーズ船に乗らずとも駿河湾を渡る潮風を楽しめるのですから、この船旅プランはかなりお勧め。一度お試しください。
江戸風情たっぷりの内装とおもてなし
送迎の車を降りて「いらっしゃいませ」の声に導かれてドアをくぐれば、そこには「ここは江戸の宿場町?」というような江戸情緒たっぷりの光景が。目の前のロビーからは、深い藍色に輝く駿河湾を一望できます。時間ごとに色を変える大海原を心ゆくまで眺められるこの眺望が「御宿きむらや つわぶき亭」の自慢の1つ。くつろいだり物思いにふけったり、思い思いの時間を過ごしてください。
ゲストルームへは、案内スタッフが提灯で案内する趣向。昔の街道名を付けられた廊下を経て、宿場町の名が付けられた本日のお部屋に到着したら、荷物を放り出して気の趣くままにくつろいで。
イメージコンセプトの由来は…
そもそもなぜ戸田港で江戸情緒のお宿なのか。その理由は戸田港にまつわるこんな歴史から。
今から約150年前の幕末期、日本を訪れていたロシア軍艦・ディアーナ号が下田港で大破してしまい、代船を戸田港で建造することに。日露が協力して作り上げた日本で最初の西洋型帆船は“ヘダ号”と名付けられ、日本史の教科書にも載ることになりました。こうしたエピソードを持つ戸田港に位置するからこそイメージコンセプトを「江戸後期の宿場」にしたのです。そんな歴史にも思いを馳せながら宿泊するのも楽しみの1つかもしれませんね。
「下田、熱海などの観光地を持つ東伊豆と、『御宿きむらや つわぶき亭』がある西伊豆は近いようでいて遠い。驚くほど景色や旬の食材も違うんですよ。その違いを楽しみ、のどかで温かみある西伊豆ならではの味わいや雰囲気を満喫していただくのが1番。のんびりとお風呂につかりながら、夕陽や富士山、満天の星を眺めたり、自然の音に耳を傾けたりして過ごすのが何よりお勧めです。私たちのお宿が、ゲストの疲れを癒し、明日を元気に過ごすパワーを蓄える場となれれば嬉しいです」(女将・木村福代さん)。
1番美しい瞬間を、独り占め
屋上の「海の湯」より
「湯の国街道」・男性用露天風呂
2010年1月2日の夕陽
屋上の露天風呂から富士山を望む
「湯船の中からぼんやり海を眺める」「露天風呂につかり、自然が織り成す音に耳を傾ける」「ただのんびりと深呼吸する」――。これがどれだけ気持ちよく癒されることか。「御宿きむらや つわぶき亭」のリピートゲストは、これを知っているからこそ繰り返し通っているのでしょう。
「御宿きむらや つわぶき亭」の大浴場は男女2つずつの「湯の国街道」と、露天風呂棟「湯亭」、有料の貸切露天風呂の計3ヶ所。それぞれで様々なお風呂が楽しむことができる、まさに「お風呂天国」です(部屋付きの露天風呂、有料の貸切露天風呂は温泉ではありません)。
貸切露天風呂から絶景をひとりじめ!
いずれのお風呂も気持ちいいことこの上ないのですが、有料の貸切露天風呂の「富士見の湯」と「海の湯」は特にお勧め。というのも両露天風呂は屋上に設けられていますから、「富士見の湯」からは晴れた日には湯船の中から富士山を、「海の湯」は駿河湾に沈む黄金色の夕陽を見ることができるのです!どちらがいい眺めか?…いずれも甲乙付け難い絶景、としか言いようもないほど。極楽ってひょっとしたらこんな場所なのではと思いながら、贅沢にも一風呂いただいたのでした。
ちなみにどちらも多くのゲストに人気のお風呂ですから、チェックイン後はすぐに予約の電話をどうぞ。食前に入るもよし、夕陽を眺めながらのんびりするもよし、朝日を浴びながらもよし、まばゆいばかりに輝く星空や月の下で入るも…、もうどんなシチュエーションで入ってもOK!目の前に広がる自然の織り成す景色に、身も心も癒されること間違いありません。雄大な自然を心ゆくまで堪能してください。「…ああ~」という声にならない声が出ることを保証します。
もちろん「ビールを飲みながら一風呂」なんて、露天風呂付きゲストルームならではの贅沢もいいもの。「『この1杯、このお風呂のために来る』とおっしゃるゲストもいるんですよ」と女将の木村福代さんは笑顔で話してくださいました。お湯から上がるタイミングを見計らうのが大変そうです。
ロビーからの夕陽は…息を飲むほど
お風呂と共にゲストにお勧めしたいのは夕方のロビーからの眺め。水平線の向こうに沈む黄金色の夕陽は言葉を失います。西向きに立つ「御宿きむらや つわぶき亭」のロビーはそんな夕陽を堪能する絶景スポット。特に気温と水温が共に下がっている秋から春にかけての時期は、水平線までぼやけることなく見通すことができ、お勧めです。沈みゆく夕陽と空が紡ぎ出す天然のグラデーションを眺めているうちに、心が柔らかく溶ける瞬間に遭遇するはず。それこそがゲストの明日への活力源になるに違いありません。
この景色は露天風呂付きの部屋ならではの楽しみ
料理の1例です
本エビの素焼き。香ばしくて美味!
料理プランによっては高足ガニも提供
「伊豆の隠れ宿」ではひたすらのんびりと
「御宿きむらや つわぶき亭」は、まさに伊豆の隠れ宿。と言っても立地的な意味だけでなく、「日常と切り離されたとっておきの時間を過ごすために、騒がしくなる要素から隠しておきたいお宿」という意味で。そう、何度も通っているリピーターゲストはそうやってこのお宿を守ってきたのかもしれません。宿を取り巻く全てのものに、ほっとできるのどかな空気が漂っていました。
到着後はどんなに気になっても日々の仕事のことは忘れて、深呼吸を。カップルでも1人旅でも、漁港の昼下がりのゆるく流れる時間を同じペースで散歩したり、暮れゆく夕陽を眺めながらただぼんやりしたり。ひたすらのんびりとした時間を過ごす贅沢を味わってください。自然に肩の力が抜け、気力が充実してくるのが分かるでしょう。
戸田港ならではの食材を楽しむ
風景や温泉を楽しみ、肩の力が抜けたら戸田ならではの料理に舌鼓を。「御宿きむらや つわぶき亭」のお料理は、山海の旬の素材をたっぷり盛り込んだ純和食です。
目の前に広がる駿河湾は、黒潮が流れ込む天然の漁場。特に9月から5月までの9ヶ月間は底引き網漁が解禁となり、都心ではなかなか市場に出回らない深海魚なども水揚げされます。最大深度2500メートルという深さの海を付近に持つ戸田港も、高足ガニや本エビ(ヒゲナガエビ)、トロボッチ(メヒカリ)などいわゆる“深海モノ”で有名。「御宿きむらや つわぶき亭」ではこれらの食材を含め、様々な海産物が実に色々な料理で使用されています。
本エビは香ばしい素焼きでどうぞ
個人的にお気に入りの食材は「本エビ」。そもそも「本エビ」は戸田エリアの通称であるにもかかわらず、正式名称のヒゲナガエビより通りがよく、本エビと言わないと伝わらないことすらあるほどとか。甘エビよりも少々大きめの身は旨みと甘みのバランスが抜群。刺身や素焼き、揚げ物など様々な食べ方で堪能できます。
「御宿きむらや つわぶき亭」ではシンプルに殻ごと素焼きで提供。全体がピンク色に焼きあがったら抹茶塩かレモン汁を絞り、頭から丸ごと豪快に!殻が口の中でイガイガするのでは?という心配はご無用、その殻こそが美味しさの源ですから。香ばしく焼けた殻のパリパリとした食感と口の中にふんわり漂う磯の香りは本当に美味!「料理は5感で味わうべし」とはこのことだと実感しました。どのぐらい美味しいか?個人的には甘エビより好きかも…と思うほどでした。ちなみにその発言元は無類のエビマニアということを付け加えておきます。
「本エビはどの宿泊プランでもお出ししています。戸田港ならではの地元の味を、是非一度ご賞味ください」(女将・木村福代さん)。