まるでアメリカのブティックホテルのよう
毎月ロビーの家具の配置を変えて新鮮さをキープ
ストイックなロビーは斬新なイメージ
オリジナルCDまで作成したクリエイティブな力
日本にもゲストを選ぶホテルがあっていい
クロスホテル札幌は、「ついに日本のホテルもここまで来たか!」と言いたくなるような斬新さを持ったホテル。「クロス」は「交差」のこと。そして、このホテルが意味する交差とは、「エンターテイメント」「情報」「シーン」「人々」の全てが混ざり合うことなのです。
ホテルほどイメージを大切にする場もありません。一流ホテルのロビーでゲストにガラガラと荷物を引きずられるだけで、そのホテルのイメージは崩れます。ホテルにとって、また利用している他のゲストにとっても迷惑な行いです。「郷に入っては郷に従え」のごとく、荷物はベルマンに任せ、部屋まで上げてもらうのがマナーなのです。それができないのならば、最初からベルマンサービスのいないホテルを選ぶべき。ならば、クロスホテルにはどのようなゲストが相応しいのでしょうか? また、クロスホテルはどのようなゲストを求めているのでしょうか? 「ボーダーレスなゲストに選ばれたいのです」と支配人が言います。ボーダーレスとは、仕事と私生活の間に線を引いていない人。遊びにおいても、仕事においても、自分のスタイルを持っていている人を意味します。
ユニークなマーケティング戦略
このホテルのすごいところは、「こんなゲストに利用してもらいたい」と望むだけではなく、自らそうしたタイプのゲストを引き寄せるためのマーケティング活動をもしているところです。
その戦略は「ミュージック」「アート」「ファッション」の3つに絞ったイベントを能動的に行っていくというもの。春には、札幌最大のファッションショーである「札幌コレクション」の、モデルや関連者たちの滞在場所となります。夏に行われる「ジャズフェスティバル」では、オフィシャルホテルとしてミュージシャン全員を泊めます。またオープン2周年ということで、オリジナルミュージックCDまで作成。「製作には大手時計会社の宣伝製作チームにも協力いただきました」とPRマネージャー。「クロスホテルだけでなく、札幌に人を呼ばなくてはならない」そんな使命感を負って、クロスホテルのマーケティングチームは走ります。
次回もここに泊まりたいと言わせるホテル
さらに驚くことは、サービス面でもリピーターを育てるための最大限の努力をしているということです。「当ホテルでは女性のゲストをなるべく東側のお部屋に入っていただくようにしています。なぜなら女性のお顔は陽の光で見たときが一番きれいに見えるからです」。朝、化粧をするときに朝日が入るのが東側の客室。自然光はメイクアップにはこの上ない「照明」です。クロスホテル札幌では、そこまで考えた采配をしているのです。強烈な個性をもって、一度泊まったゲストを二度と放さないホテル。このホテルはその代表と言っていいでしょう。
最上階にあるガラス張りの大浴場
大浴場脇のラウンジの正面にはテレビ塔が
客室のバスルームには豪華なレインシャワー
芸術的な外観はとても目立った存在です
一流だからこそサービスが無料に
アメリカの一流ホテルに泊まると、たいがいジムは無料で利用できます。そしてジムにはプールもサウナもついています。それが「一流ホテル」の証とされています。またファイブスターホテルの選定基準でも、プールやサウナなどの施設があるか、またそれをゲストに無料で開放しているか否かが問われる傾向にあります。日本のホテルでがっかりさせられるのは、どんな一流ホテルでもこうした施設が有料になっていることです。
クロスホテル札幌の嬉しいところは、サウナこそありませんが、最上階にある展望大浴場に無料で入れること。ラウンジでは映画、スポーツ、お笑い、子供向けまで、160種類以上もあるビデオチャンネルが無料で鑑賞できます。ここは寒さが厳しい季節には、外に出るのがおっくうになることもある土地。そうしたときでも、ホテル内でゆっくりと楽しむことができるのです。
最上階の露天風呂から夜景を見下ろす
大浴場につかりながら札幌の街を見下ろします。最上階にあるガラス張りの浴場だからできることです。脇には露天風呂まであります。雪が降ってきたときのイメージを思い浮かべてください。こんな幻想的な入浴体験もないでしょう。大浴場の隣にはラウンジ。家族で利用していれば、ここで合流することができます。テレビ塔のイルミネーションを眺めながら、温まった体をゆっくりと休める・・・誰もが最もくつろいだひとときだと感じることでしょう。
160種ものテレビチャンネル
一人でゆっくりと映画を鑑賞したいときも、子供と一緒にお笑い番組を楽しみたいときも、160種類もチャンネルがあれば困ることはありません。必ずみんなが見たい共通番組が見つかるはずです。「てっきり有料チャンネルかと思っていていました。家族で来るときは、夜に子供が退屈することが多いから、このテレビはとても役に立ちます。なにしろ見ている途中で自由にチャンネルが変えられるのですから」。家族で泊まりに来たほとんどのゲストからの共通コメントです。
ネオンがあふれる街、札幌。しかし、冬時にはゆったりと大きなお風呂に入り、映画を見るという過ごし方もいいものです。そんな選択肢があれば旅はさらに思い出深く楽しいものになるでしょう。素晴らしい旅を演出するために、何が必要なのかをよくよく考えているからこそ生まれた、このサービス。クロスホテル札幌が、多くのリピーターをとらえて離さない理由がここにあるのです。
光を反射して人々の視線をひきつける建物
スタイリッシュなレストラン「アゴラ」
肌の感触をとことん追求した快適なシーツ
パジャマにもスタイリッシュな「X」のマーク
「イメージ」に妥協は許されない
エントランスに入る前で、美しいイルミネーションに目が釘付けになりました。ビルの大きな壁にクロス(X)の影が。イベント時には、ここに美しいイルミネーションが投影されるわけです。中に入ると、大きなガラスの壁にアート作品が飾られています。エレベーターを上がりロビーに到達。「クロスホテルにお越しいただきましてありがとうございます」と、美しい女性のロビーグリーター(挨拶をする係)の歓迎を受けます。フロントの横では、真っ赤なジャズピアノが美しいメロディを奏でています。
「一糸乱れぬイメージを作りあげていますね」と支配人に言うと、彼はニヤッと笑っていいました。「ホテルのイメージに合うように、スタッフもモデル会社と提携しているのです」。まるでマンハッタンのブティックホテルなみのこだわりようです。さらに多数のリピーターに訪問ごとに変わった雰囲気を味わってもらうため、ロビーのテーブルなどの配置を毎月変えているのだそうです。ホテルにとってイメージほど大切なものはない。だから妥協はしないのです。
安全性に対する配慮も超一流
鍵はタッチ式のカードキー。キーをエレベーター内のパネル部分につけなければエレベーターは動きません。滞在しているゲスト以外はエレベーターを動かすことができないシステムです。また深夜1時にはホテルの扉を閉ざします。ゲスト用の鍵を持っていない限り、ビル内に入ることができなくなります。こうして高い安全性を作り出しているのです。
人をとらえて離さないもの
部屋にはシモンズ製のベッドと大きな机、そして機能的なフォルムの椅子。そればかりが目立ち、一見シンプルな部屋のように思えますが、隠れた技がありました。まずシーツの感触がとてもよいということ。シーツの感触をよくすると毛玉ができるようになります。それができないぎりぎりのところまで追及した素材なのです。全体を通して薄く「X(クロス)」文字も入っています。テレビをつけると膨大な量のチャンネル。それも全て無料で見られるシステムになっています。また、最上階には街を眺めながら入れる大浴場があります。こちらもゲストには無料で開放しています。利用したいと思っても、有料だとなかなか足を運ばない施設ですが、このホテルでは遠慮なく利用することができるのです。一度泊まったら、二度目も必ず戻ってくる。クロスホテル札幌は、そんなエピソードが少しも不思議ではない雰囲気とサービスを貫いたホテルなのです。