ノスタルジーを感じさせる日本間の客室
「摩訶の湯」は約120畳の広さ
「子宝の湯」は子どもを宝物のように、の意味
山の幸を堪能してください(夕食メニューの一例)
奥利根の自然と温泉を堪能
JR上越線水上駅からバスに乗り換え、揺られること35分、民家もまばらな山奥のそのまた奥に、天下一とも称される大露天風呂が自慢の「寶川温泉 汪泉閣」があります。季節によって様々な表情を見せる美しい奥利根の自然と宝川のせせらぎ、豊富な湯量が自慢の温泉に併設する一軒宿。昭和を思い出させるような懐かしさが漂うその佇まいは、多くのゲストにノスタルジックな夢を見せつつ、今日も心と身体を温め続けています。
汪泉閣の自慢は何と言っても温泉。質がよく、また豊富な湯量が自慢の4つの大露天風呂に、宿泊ゲストであれば24時間入れるという贅沢さ。四季折々に移り変わる自然と対話しながらゆっくりと身体を温めていると、時が過ぎるのも忘れてしまいそう。
四季折々の美しさを露天風呂から眺める
四季折々に自然が見せる美しい変化は、汪泉閣の目玉でもあります。秋の紅葉時には周辺に植えられたもみじがこれでもかと紅く染まり、それが夕暮れの中で光り輝く様はこの世のものとは思えない神々しさ。もみじが散ると一斉に全ての落葉樹が葉を落とし、冬に向かって準備を始めます。真っ白な雪の中、白い息を吐きながら湯気が立ち込める通路を歩いて温かな温泉につかる幸せ。お湯から上がっても身体は冷えないことで、ゲストは温泉の効果を知ることでしょう。桜が散った新緑の頃も見逃せません。柔らかな黄緑色が芽吹くその姿を露天風呂から眺める幸せたるや。さらに黄緑色から濃い緑色へ、実りの秋に向けてどんどん伸び行く様を眺めながら、成長期の命のパワーを感じてください。
外国からのゲストからも大人気
汪泉閣のゲストの1、2割は外国からとのこと。豊かな自然に囲まれた環境と温泉、日本を感じられる建物とくれば「オリエンタルジャパン」を探しにきたゲストも楽しめること間違いなし!そうそう、世界最大級の某旅行口コミサイトの調査によると、海外で注目されている日本の観光スポットとして16位にランクイン(「京都」「鎌倉」などのエリアではなく個別スポットとしては1位)したとのこと。海外でも注目スポットなんですね。
「“日光”や“京都”と同じレベルで“行くべき場所”として見ていただいているのは光栄。 より深く“日本”を知り、味わっていただいて、『日本って面白い。また来よう』と思ってもらえれば」(代表取締役・小野与志雄さん)。
最初は日帰りで温泉に訪れ、再度、宿泊に来るというゲストも多いとか。「リピートゲストは本当にたくさん。何度いらしていただいているか分からないほど足を運んで下さっています。最初は家族と来て、次は友達連れで、次は恋人と、とどんどんつながっていくのが嬉しい」。
宝川沿いに文字通り宝石のごとく光り輝くお宿、汪泉閣。雄大な大自然に囲まれた日本を満喫したくなったら是非足をお運びください。
選んだ浴衣に着替えて、大露天風呂へ
女性専用の「麻耶の湯」
「子宝の湯」で子宝に恵まれたという報告も
山深い温泉は、冬には真っ白な世界に
寶川温泉あっての汪泉閣、広さの総合計は約470畳!
宝川に沿って湯の花が浮かぶ汪泉閣の大露天風呂・寶川温泉。汪泉閣の自慢は何といってもこの温泉。「寶川温泉あってこその汪泉閣」と言っても過言ではないほどです。4ヶ所に点在する露天風呂のうち、摩訶の湯、般若の湯、子宝の湯の3つは混浴、摩耶の湯は女性専用。チェックイン時に選んだ浴衣に着替えて大露天風呂へ向かいましょう。つり橋を渡って少し歩けば、もうもうと湯気が立ち込めるお風呂がゲストを迎えます。
毎分1800リットルの豊富な湯量が自慢
寶川温泉を有名たらしめるゆえんはその広さ。摩訶の湯は約120畳、般若の湯は約50畳、子宝の湯は約200畳、摩耶の湯は約100畳という規模はなかなかあるものではありません。しかもその広さにもかかわらず源泉掛け流し。そう、寶川温泉は敷地内にある4本の源泉から毎分1800リットル汲み上がるとのこと。この豊富な湯量が何よりの自慢なのです。ちなみにこれは群馬県内の某有名温泉地全体の湯量より多いそう。源泉が枯れつつあるというニュースがあちこちで報じられる昨今にあって未だ枯れ知らず。さらには汲み上げた温泉水は旅館の床暖房にも利用しているとのこと。冬場の客室の暖かさ確保と光熱費対策はこれでバッチリです。
「子宝の湯」で実際に子宝に恵まれた報告も
摩訶の湯は寶川温泉の象徴とも言える露天風呂。昭和15年に完成してから今日まで、寶川温泉のシンボルアイコンとしてばかりでなく、各地の露天風呂の見本として君臨し続けています。
寶川温泉の中でも最も広い湯船を持つ子宝の湯は「子どもを宝と思って大切にする」という意味で名付けられたものですが、ゲストからは実際に子宝に恵まれたという報告も。夫婦仲良く温まれば身体にいいことは間違いなし。「子宝の湯」の名もあながち伝説ではないのかもしれません。
一方女性専用の麻耶の湯は宝川最下流部に位置しており、周りを塀で囲う必要がありません。脱衣所も総桧造りで床暖房付きと至れり尽くせり。贅沢なほどの開放感溢れる露天風呂へのファンは多いとか。
宿泊ゲストはこの温泉に24時間入浴できるのですから本当に贅沢。宿に到着してひと風呂、寝る前にもう1回、朝起きて起き抜けにもう1回、文字通り湯水のように浴びてゆっくり身体を休めて。
「広い混浴露天風呂を家族や仲間で楽しんでもらえれば。狭い貸切の露天風呂などでは味わえない、ゆったりとした開放感がたまらないと思いますよ」(代表取締役・小野与志雄さん)。
前菜4点盛り。自家製蒟蒻はぜひじっくりと味わって
名物「熊鍋」を含むコース
どこか懐かしい感じの客室
宝川のせせらぎに耳をすませて
岩魚や鮎など、山の幸を存分にどうぞ
食事は山の幸が基本。岩魚や鮎の塩焼き、キノコや山菜など山の中だからこそ味わえる旬の恵みをふんだんに盛り込んだメニューは、前菜から始まって果物まで平均13品ほど。
群馬特産の蒟蒻も汪泉閣では手作り。「この柔らかさと歯ごたえは自家製でないと出せないんです。工場で作られた既製品は固くて…」(代表取締役・小野与志雄さん)というこだわり。このぷにゅぷにゅ、つるりとした感触、蒟蒻マニアにはたまらない一品です。個人的にお勧めなのは川魚のお刺身。天然の香りが心地よく、歯ごたえも抜群。臭みは全くありません。新鮮でなければ食べられない旬の食材に、是非舌鼓を。
定番料理は熊汁!
そうそう、汪泉閣の定番料理「熊汁」(熊鍋の時もあり)を忘れてはいけません。ん?汪泉閣のマスコット的存在の熊を食べるの?…いえいえ、北海道の熊牧場から仕入れていますからご心配なく。
そもそも汪泉閣のある水上町藤原は険しい山岳地帯。農作物に恵まれず、最近まで鹿やウサギ、熊などを食料としていたとか。そんな生活を偲ぶ意味も込めて、特に滋養があり重宝していたという熊を郷土の味「熊汁」として夕食に提供しています。独自レシピで下ごしらえした熊肉はえぐみや臭みはなく、柔らかい感触。想像とは違う味に「これが熊?」と、ほとんどのゲストが驚くそう。
昭和を思い出させるレトロさが魅力
温泉や熊汁のみに気をとられずに、お部屋についても少々解説。汪泉閣は本館、東館、第一別館と3棟からなっています。本館は総檜葉造の3階建てでトイレ付き。木の温もりがそのまま感じられる雰囲気が特徴。東館は汪泉閣で最も新しく、鉄筋5階建て。3棟の中で1番上流に位置しています。第一別館は木造2階建て。3棟の中で最も下流に位置しています。宝川にせり出す構造で、川のせせらぎを1番近くで感じられる客室。3棟の中で最もレトロな雰囲気で実は外国からのゲストには1番人気なんだとか。
汪泉閣に足を踏み入れるとなぜか力が抜けていくのは、この懐かしい空気感のお陰でしょう。大正時代から建物を支えている梁や音がするほどに磨きぬかれた廊下、飴色に照る柱といったもの全てが、今はもう遠い昭和の時代を自然に思い出させてくれ、それがまた心地いい感慨をゲストに与えてくれるのです。「今では珍しい雰囲気の旅館かもしれませんね。温泉には絶対の自信がありますが、ゲストに選んでもらっているのはそれだけではないと思います。この一種レトロな雰囲気も含めて楽しんでもらえているのなら、嬉しい」とスタッフのお1人が笑顔で語ってくださいました。