一歩ロビーに入ればそこは欧州の雰囲気です
曲がりくねった螺旋階段は芸術的な美しさ
シモンズ製の大きなベッドを使っている部屋
スワロフスキーの豪華なシャンデリアを使っている宴会場
近代建築と19世紀末のヨーロッパ調アンティークの融合
札幌にはホテルモントレグループが運営するホテルが2軒あります。モントレ札幌とモントレエーデルホフです。2つのホテルは歩いてわずか3分ほどの距離。同じホテルチェーンがこんなにも近くにホテルを2軒保有するのはとても異例なことです。それが可能だったのは、2つのホテルが全く違う個性を持っているからでしょう。モントレ札幌は中世イギリスをモチーフにして造られた古風な外観のホテル。一方、モントレエーデルホフは大きなビルの上層階を占める近代的な造りのホテルです。
しかし、その近代的な外観とは相反し、ひとたび館内に入れば、そこは19世紀末のウィーンをモチーフにしたアンティーク調の内装。美麗なアールヌーボー建築で有名なオットー・ワーグナーのスタイルを想像もつかない技巧で模倣し、19世紀末のウイーンの雰囲気を醸し出しています。ふんだんに使われている豪華なシャンデリアやいびつな形で曲がる螺旋階段。そして、いたるところに置かれている輸入アンティーク家具など、思わずため息がこぼれるほどの美しさです。
機能的なホテルにはあり得ない造り
また、必要以上に大きな扉を使い、それゆえムダな空間がたくさん作られていることも特徴です。宴会場に入るドアやバックスペースに入るドアなどは、1枚が300キロを超えるという重厚なもの。これらはヨーロッパの宮殿に使われているようなドアなのだそうです。機能性を考えたホテルではありえないこうした造りこそ、19世紀末のウイーンの館を再現するためのこだわりなのです。
モントレエーデルホフが建っている場所には、以前、北海道営林局がありました。それは巨大な木々で囲まれた建物でした。このホテルはその緑を残して屋敷の庭園の雰囲気を出すように造られました。これが「エーデルホフ(貴族の屋敷)」の命名の由来です。
札幌市内中心部では珍しく温泉を引いたホテル
このホテルのもう一つの特徴は、14階に眺望の素晴らしい温泉スパがあることです。10年前に建てられたとき、札幌市内で温泉を保有するホテルは僅かでした。現在では他にも温泉を保有するホテルが登場しましたが、大きな違いは、モントレエーデルホフの温泉スパは家族が一緒に利用できるうえに、見晴らしのよい大ラウンジが設けられていることです。他の温泉つきのホテルに泊まりながら、「子供と一緒に入りたい」と、わざわざこのホテルの温泉スパを利用しくるゲストもいるほどの人気施設なのです。モントレエーデルホフには、ここでしか体験できない特別な施設があります。これだけ近い場所に、モントレが2軒のホテルを持つことができた理由は、そこにあるのです。
温泉が流れ出すスパエリア
岩盤浴も大変な人気です
テレビ塔が正面に見える場所も
ビルの14階にあるのが温泉スパ施設です
札幌の温泉つきホテル
モントレエーデルホフの14階にある絶景温泉スパは、オープン当初は会員専用施設で、ホテルのゲストには開放されていませんでした。ところが、集客を見込んでホテルゲストも利用できるようにしたとたん、急激 にリピーターが増えるという現象が起こりました。多くの人に好まれる絶景温泉スパ、ならばさらに使い勝手をよくして強力なセールスポイントにしよう。こうしてオリジナルの工夫がスタートしました
まず、家族で楽しめるように、大人同伴で子供も入れるようにしました。また、札幌の山並みを一望できるラウンジでの食事はハーフサイズにして安価な料金に。現在では、他のホテルに宿泊しているゲストまで「子供と温泉に入りたいから」あるいは「家族で楽しめる眺めのよいラウンジに行きたいから」という理由で、この絶景温泉スパに来るようになりました。また、女性向けのエステメニューや岩盤浴(別料金)も人気が出てきました。
札幌市内を一望できるスパ施設
御影石造りの露天風呂で外の風を楽しみ、サウナで身体を温めて、ジャクジーでマッサージ。ラウンジでは札幌のネオンを鑑賞しつつ、ゆっくり食事。さらにリラックスしたい人には岩盤浴もあります。一人でも、カップルでも、家族でも利用できる温泉スパは、札幌市内ではモントレエーデルフをおいて他にはありません。源泉から湯を引いているため、市に入湯税を払わなければなりませんし、ボイラーも必要です。それらにかかる経費をカバーするため施設利用料が発生しますが、宿泊ゲストは一般料金の半額に近い1500円で利用できます。ラウンジでの飲食料金は部屋にチャージすることができます。
温泉を保有するホテルを目指しての挑戦
モントレエーデルホフにとって、温泉を引く作業はある意味リスクの高い賭けでした。地下1000メートルまで穴を掘っても出てこないかもしれません。また、2年に1回の割合でパイプ交換をしなければなりません。また毎日の清掃と月に一度の配管の消毒洗浄を行わなければなりません。それでも、札幌市内中心部で温泉を保有するホテルにしたいという情熱のもとに挑戦が行われたのです。雪が降って白くなった街を、高いところから見渡しながら温泉につかる姿を想像してみてください。ゆっくりと流れるひとときは、都会の喧騒の中で暮らす人々の憧れとなるはずです。
和食レストランの中庭には楓が植えられています
13階にある神殿「天星殿」
教会の利用度も札幌で最も多いホテルです
目の前にテレビ塔が迫る中華レストラン
19世紀のウイーンの風がビルの中に
モントレが有する全てのホテルは、中世のヨーロッパをモチーフにしています。しかし、モントレエーデルホフの外観は近代的なデザインで、2001年には「札幌市都市景観賞」を受賞しています。ところが、一歩ロビーに入るととたんにヨーロッパの雰囲気が漂いはじめます。フロントの壁には2枚の絵画。ひとつは貴婦人の絵。もうひとつは子供の絵。ともにひと昔前の服装をまとったヨーロッパ人を描写した油絵です。宴会場に行けば、ヨーロッパから輸入した豪華なシャンデリアが光り輝いています。
チェックインを済ませてエレベーターへ乗り込み、宴会場とレストランがある12~13階、さらに温泉スパのある14階も通り過ぎて16階に到着。ここからが客室フロアになります。地上60メートル以上の場所にあるので、すべての部屋から素晴らしい眺めを楽しめます。東側の客室からは札幌市内の街並みが、西側からは山の尾根。見たい景色の希望があれば、チェックインの際に相談してみるのもいいでしょう。
心なごませる空中庭園
「この楓を庭園などと呼んだら怒られるかもしれません。でも、実に風情のある庭なのです」とは和食レストラン「隨縁亭」のマネージャーの言葉。13階にあるこのレストランでは、ガラス越しに小さな庭が望めます。そこには、季節とともに新緑から紅葉まで色を変えていく楓の木が。雪が降った日には「このセット、よくできているわねえ」などという声がゲストからあがります。まさか地上60メートルのところに本物の楓が植えられているとは思わないのでしょう。レストランを利用する人々の目を和ませてくれる存在です。
12階にある中華レストランの「彩雲」は大きな窓が特徴のレストランです。視線を向ければ窓越しにテレビ塔が見えます。ここは小皿料理を多数出す、ヌーベルチャイニーズのスタイル。結婚式の二次会会場としても大好評で、大安吉日の祝日は貸し切りになってしまいます。和食も中華も、味覚だけでなく視覚も楽しませてくれる要素を備えたレストランです。
縁結びの「天星殿」
結婚式をするための神殿とチャペルも13階以上の場所に造られています。どちらもとても豪華なものですが、ことに神殿の造りは珍しく、天窓から日の光がさんさんと降り注ぎます。その名も「天星殿」。天に近い場所にあることから名づけられました。これら抜群の魅力を持った婚礼施設があるおかげで、このホテルは札幌で最も多くの婚礼を扱う縁結びのホテルとなっています。