目に前に広がる豪華なロビーに驚くゲストも多数
日本の伝統美とモダンテイストを兼ね備えた客室
新・星の棟には専用ラウンジも用意されています
貸切露天風呂は全部で5つ。朝は無料開放されます
いち早く「男性・団体・宴会」路線から脱却
遊びをせむとや生まれけむ、戯れせむとや生まれけむーー「梁塵秘抄」の中でも最も有名なこの歌が瑠璃光のテレビCMとして流れたときのことを、予約課長の沢田和宏さんは、今でもはっきり覚えています。「ものすごくインパクトがあったんですよ。旅館とは思えない斬新な構成で」。
山代温泉を代表する有名旅館、山代グランドホテルが全面改装のため一時閉館したのは1991年。まだまだ景気は右肩上がり。誰もがその真意を量りかねました。「全て社長の決断です。これからは女性客・個人客の時代になると」と、当時のことを語ってくれたのは副支配人の橋本秀夫さん。それは、山代温泉エリアでは初となる「男性・団体・宴会」路線からの脱却宣言でした。温泉旅館の象徴だった歓迎看板や赤い絨毯を取り払い、花をイメージした華やかで優しいニュアンスへと全面改装。その間に定期的にスタッフ研修を設け、物腰から言葉遣いにいたるまで徹底的な意識改革も行う。まさに180度ともいえる大転換ですが「苦にはなりませんでしたよ。むしろ時代の一歩先を行っているという確信があったので楽しかったですね」と橋本さん。
時代に合わせて「らしさ」を追求する
そして、「瑠璃光」オープン。山代温泉の源泉にちなみ、またきらきらしく美しいイメージも兼ね備えた申し分のない名前です。「姿形だけではなく、全く別人に生まれ変わった」瑠璃光は、瞬く間に狙い通りの客層を獲得します。しかし、それで「再生完了」というわけではありません。リラクゼーションとエンターテインメント性を追求した施設、各種催しにも力を注ぎつつ、2006年には露天風呂付き客室の新・星の棟を増設。一方で、地域や周辺の旅館と協力したエコ活動参画も怠りません。「今後の課題は、パーソナルスペースの拡充とバリアフリー対応。時代に合わせ、なおかつ瑠璃光“らしさ”を出していきたい」。瑠璃光の進化は、いまなお続いているのです。
「まあまあ」ではなく「とても」の声を
橋本さんと沢田さんが口をそろえて言うのは、「お客様の期待を裏切らないこと」。非日常を求めてくるゲストの楽しみを決して消してはいけない…すべてはそこに集約されます。「特にお食事に関しては細かくリサーチとフォローをしています」と沢田さんが言えば、橋本さんも「まあまあよかった、ではダメなんです」と続けます。「とてもよかった、という声を増やしたい。ですからお客様の声は、たとえどんなことでも真剣に耳を傾けます。それは必ず何らかの指針になるのです」。足を踏み入れたゲストを驚かせる豪華なロビー、100を超える客室がありながら完全な部屋食も可能というきめ細かなもてなし。瑠璃光はそのキャッチフレーズに違わない「進化する日本の宿」として、これからも常に注目を集める存在であり続けることでしょう。
優雅なラウンジは新・星の棟のゲストだけの特別スペース
個性的な「りびんぐ」が居心地をさらにグレードアップ
スタイリッシュな洗面所。アメニティも特別です
露天風呂には壁掛けテレビも設置と至れり尽くせり
ハイクラスの客室にふさわしいもてなしを
まるで館内が小さな温泉町のような瑠璃光。その「町内」きっての豪華施設が新・星の棟です。「ハイクラスの客室にふさわしい贅沢で特別感のあるおもてなしをご用意しています。本当はエントランスも別にしたいくらいなのですが」と副支配人の橋本さん。その役目を担うのが専用ラウンジです。新・星の棟滞在ゲストしか出入りすることのできないここは入館コード付き。自動ドアが開いたその先には、特注のレザーソファがどっしりと置かれた優雅な空間が待っています。
そこはまさにエグゼクティブラウンジ
フリードリンクバー、シャンパンやビールがサーブされる夕刻のハッピーアワーサービス、インターネットの無料利用、DVDやCDソフト、書籍、雑誌の無料貸し出し。「貸し出し」てくれるアイテムはそれだけではありません。客室内のアロマ加湿器用のオイル、ナノミストフェイシャル美顔器、ネイルセット、とスペシャル度はぐんとアップ。しかもラウンジ内には低温温浴ボディソニックシステム、最新式全自動マッサージ機、酸素エアチャージャー、そして珍しいオープン式の岩盤浴ベッドまで完備。竹が植えられたテラスは心なごませてくれる小さな箱庭。「この間タケノコが採れたんですよ。小さいけれど30本くらい」と教えてくれたコンシェルジェの遊佐さん。そのタケノコは、とたずねるとニッコリ笑って「スタッフでおいしくいただきました」。
「外に出たくなくなる」贅沢な客室
客室ももちろん贅を極めたしつらえ。とりわけ4階と5階の露天風呂付きの部屋はツインベッドの寝間を備えた和洋室で、「りびんぐ」と名付けられたフリーリングのサロンスペース、オープンデッキテラスを含めて全室異なる美しいデザイン。スタイリッシュなバスルームにはパネルヒーターがあり、通り抜けにミストサウナ付きのシャワールームを配置。露天風呂は壁掛けテレビまで! ベッドマットと枕はテンピュール社製。「ぐっすり眠れた、朝まで一度も起きなかったという声が圧倒的です」。内装は100%天然素材使用。空気清浄機や加湿器、アロマポットも常備されナチュラルでヘルシーな安らぎの時間です。「月の棟や風の棟と違って、新・星の棟はずっとお部屋でお過ごしになるお客様が多いですね。でも、ぜひ館内探索もなさってください」。至れり尽くせりの客室にいるとそれだけで満足してしまいそう。居心地のよさをたっぷり満喫するか、瑠璃光ならではのエンターテインメントを楽しんでみるか。ちょっと嬉しい葛藤になるかもしれません。
ひとつひとつしつらえが異なる貸切風呂は全5つ
食事は部屋出し。座卓に乗り切らないほどのごちそう
食事の組み合わせが選べるダイニング「仁三郎」
「能残月」ではユニークなショーが上演されます
「自分で選ぶ」楽しみ満載
瑠璃光の館内は、気をつけて歩かないと迷子になりそうなほど広く、そして魅力的な場所があちこちに待ちかまえています。地下1階は5つの個性的な貸切露天風呂、温泉旅館では珍しいインド式エステメニューもあるサロン「ラピス」と、リラクゼーションガーデン「ゆらり」。ここでは本格的な足つぼやフットマッサージが受けられるだけでなく、涼しげな池に向かって並ぶマッサージチェアの利用もお好み次第。貸切露天風呂は50分単位の有料制ですが、毎朝6時から11時は太っ腹にも無料開放。朝食の前後やチェックアウトの前に、最後の一風呂が楽しめます。
食事は部屋それともダイニング?
食事は夕食・朝食ともに部屋出しが基本。近海ものの鮮魚、加賀伝統の野菜、ここでしか味わえない特産品など、こだわりの食材で彩られた懐石料理。味付けの濃淡がはっきりしているので、かなりボリュームがあっても箸が止まりません。ところで、誰にも気兼ねしなくていい部屋食は贅沢かつ嬉しいサービスですが、あえてダイニング「仁三郎」を指定するゲストも少なくないのだそう。特徴は「オートクチュールダイニング」という、野菜や台物などを数種類の料理の中から選べるシステム。圧巻は何といっても握り寿し。カウンターごと板前が移動してきて、好きなネタを目の前で握ってくれるのです! もっちりした食感のカルゲン米、和洋絶妙な取り合わせのデザートも強い印象を残します。
退屈とは無縁。館内は小さな温泉町
その他にもカラオケやミニライブもあるラウンジ、足湯に朝市など多種多彩な楽しみが用意されている瑠璃光ですが、スタッフの「これだけはぜひ!」というおすすめが毎晩上演される「加賀 一向一揆太鼓」。その独特の装束と勇壮な響きにゲストの目は釘付け。夏場は中庭で上演され、ますます迫力が増すのだとか。また、最新の機器を備えたシアター「能残月」では、期間限定で選りすぐりのエンターテインメントを披露。これまでの人気演目は中国雑伎団やタイのニューハーフショー。「こんなところで観られるなんて、と女性のお客様に喜ばれています。浴衣でお気軽にお運びください」。
まるで小さな温泉町のような館内をたっぷり堪能したら、客室に戻りましょう。和とモダンが融合した洗練された空間は、隅々まで手入れが行き届き、柔らかな間接照明が心身を安らげてくれるはず。寝心地にこだわった寝具はあっという間に深い眠りを誘います。もし小腹が空いてきたら、午前0時まで開いている夜食処「月の庭」へ。滞在中の1分1秒まで退屈とは無縁な瑠璃光。全てを堪能するには1泊ではとても足りません。