日本一の眺望に抱かれる至福のひととき
随所に品のよさを感じる落ち着いたたたずまい
湖山亭うぶやならではの華やかな絶品料理に舌づつみ
さまざまな表情を見せる富士を飾ったギャラリー
日本一と言える景観に旅の神髄を思う
何のために旅をするのか。理由は、それこそ旅の数ほどあるわけですが、おそらくこれなしに旅は成り立たないと考えられる最大公約数、それが「ロケーション」。いくら気の置けない人と、しつらえのいい部屋に泊まり、天下の美食を堪能したとしても、心の写真に「背景」が映らなければそれは旅ではない。そう言い切ってしまってもいいかもしれません。景観が、旅を旅にする。その意味でも、河口湖と富士山をすべての客室から一望できる「湖山亭うぶや」は、日本が誇る最高クラスの旅館のひとつと言えます。明るい日差しのなか、輝く湖面を遊覧船がゆったりと進んでいる。その奥には雄大などという陳腐な表現では気後れするほどの威厳をたたえる霊峰富士の姿。日本一の山…と歌われながら、フォトジェニックとしては世界一だと胸を張りたくなる堂々たるシンメトリーのシルエット。これはまるで巨大な絵葉書。いや、一幅の屏風絵のような芸術作品でもあります。
この眺望が見たいから、アクセスも抜群
「実際、河口湖と富士山を一望できるロケーションはそうないんですよ」
湖山亭うぶやの川島茂人さんが、そう教えてくれました。この立地をとことん活かすため、すべての部屋が富士山&河口湖ビュー。温泉大浴場からの眺望も当然。なおかつダイニングなども、少し段差をつける等、すべてのルームから絶景を拝めるように配置されていたりと配慮が細かい。そこが外国からのお客さまにも絶賛されるポイントなのでしょうね。「東京から京都へ行って、また東京に戻ってからフジヤマへ!という方が多いですから。アクセスも抜群ですし」。電車に加え、ほぼ1時間に1本という東京・河口湖間の直行バス便の充実も、この地がいかに多くの観光客を集めているかの証左。さすが日本の象徴。なぜか強く惹きつけ続ける景色が、ここにあります。
文人墨客が愛した眺めを、最高のもてなしと
宿のほぼ真南に富士山と河口湖を望むロケーションから、湖山亭うぶやではあらゆる表情の富士山を眺めることができます。朝もやにけむる富士。河口湖面に映り込む逆さ富士。夕日を受けて染まる赤富士…。思わず身震いするほどの眺望。葛飾北斎、歌川広重、富岡鉄斎、横山大観…。幾多の画家や文人の高ぶりと同様に、訪れるお客さまが切ったシャッターの軌跡が、いまでは館内のギャラリーに展示されるほどに。もちろん、客室でくつろぎながら、温泉大浴場でまったりとしながら、記憶のキャンバスに描き残すのも一興です。
大改装を終え、よりリッチさを増し、もてなしの神髄を究めた湖山亭うぶや。各部屋のつくり、料理、心を尽くすホスピタリティ、もちろん眺望でも比類のないレベルで、河口湖を、いや日本を代表する宿。雑誌などでもたびたび特集され、高評価を受ける存在。一度訪れれば、必ず次も訪ねたくなる。そんな宿です。
グレードアップコースで地元食材甲州牛も
会席料理の繊細な一皿に日本の美を映し出す
美味なるひとときを予感させる料理茶屋の入口
お茶やお酒を飲みながら語らいを楽しむラウンジ
磨きぬいた一品で、ドラマを演出する
「一品一品、完成されたものをご提供したいんです」。湖山亭うぶや常務取締役の外川一哉さんは、そう語ります。「料理のメニューも手を広げすぎず、徹底的に精査して定番を究めたい。名物と言われるメニューをつくりたい。なぜなら、やはり一般のお客さまは、そう長逗留できません。1泊、2泊…。それが普通です。ならば毎日日替わりでメニューを構成するよりも、インパクトのある渾身の一皿を味わっていただきたい。そこに季節ごとの彩りを加える。“あれが食べたいから来たよ”と言っていただければ」。会席のコースにもメリハリをつけ、前菜で季節感を演出しつつ、豪華なメインでしっかり満足できる仕掛けに。霊峰富士を間近に望む究極のロケーションで、磨き抜かれた絶品の味わいを堪能する。なんという贅沢。まさに超一流の演出家と美術監督によるドラマです。
思い出を重ねる宿には何が必要か
「大切なときに大切な人と…。当館のコンセプトは、これに尽きます」。外川常務は続けます。「実際、毎月のように旅行する人は、そういません。だから、特別なときに訪れたい宿を目指しているのです。誕生日や結婚記念日、還暦のお祝い…。そんなときに、大切な人…ご家族と、来ていただきたい。親を連れて行きたくなる宿のイメージ。そのための心地よさを徹底的に追求しています」。
お客様といっしょに年輪を重ねる
そして、より記憶に残る宿にするため、リニューアルの際には、思い切ってパブリックスペースを大充実させたとのこと。フロント脇のロビー、現代風にデザインされた囲炉裏のあるラウンジ、ギャラリー、ライブラリー、葉巻も楽しめるシガールームなどなど。「思い出は、人との関わりで深まっていくのだと思うんですよ。あのとき、あの場所で、あんな人と出会った。あんな話をした。そんなお客さま同士や、お客さまと従業員とのコミュニケーションが自然発生的に生まれる場所をつくりたかった」。さまざまな旅館を訪ね歩いての結論だったそうです。素晴らしい建物はしっかりした設計士に頼めばできる。しかし、それだけではお客は呼べない。「ここでいろんな想いを重ねて物語を蓄積することなんだと思います。子宝の神社や富士のギャラリーは、うぶやで過ごした時間を記憶するための装置でもあるんですね。そうしてお客さまの想いと一緒に育てていただき、いい年輪を重ねたい。宿の理想だと思います。超アナログ志向です(笑)」
ゆったりくつろぎながら富士山を間近で望む贅沢
絵ではなく本物の富士山が描かれた開放的な大浴場
数多くの絵馬も奉納される館内の神社「木花の社」
オリジナルのお土産や地元の特産品が並ぶ
日本一の前だから、ゆったり大きな休日を
湖山亭うぶやの客室は、どれもゆったりとして品のあるつくり。いずれも窓を大きく取り、壮麗な富士山の姿を大きな額縁に収めたような圧倒的な景観が楽しめます。そう。せっかく日本一の山を望むのです。ちまちましていたらもったいない。そんな思いからか、部屋はゆとりの広さで、設備類も充実しています。フラットスクリーンの大画面テレビは全室に。和洋室タイプの部屋にはシモンズ製のベッド。枕も好みの固さや高さに調整できる特別製。落ち着いたリビングのような雰囲気をもつ広縁のソファーにもたれて、刻一刻と姿を変える富士山の姿を眺める。夏と冬に行われる河口湖の花火大会も目前で楽しむ。この贅沢な時間にはため息が漏れてしまうほど。また男女各2フロアからなる清潔な温泉大浴場は、それぞれ吹き抜けの大開口部から河口湖と富士山の大パノラマが。ほかにも露天風呂やハーブサウナ、ジャグジーなどバラエティ豊富。これには温泉通も大満足です。夕暮れ、赤く染まりゆく富士山の風景に溶けていきそうな、ここでしか味わえない感覚にひたれそう。お風呂上がりにはSPA・エステも。リフレクソロジーからアロマエステ、もみほぐしなど一通りのメニューが揃って、女性はもちろんカップルでも楽しめます。
伝説の地で、またとない真心づくしを
ゆったり大きな存在に守られたような湖山亭うぶや。そもそもここは産屋ヶ崎(うぶやがさき)という場所。その由来は、日本最古の歴史書である古事記の中でも有名な木花之佐久夜毘売(コノハナノサクヤヒメ)の神話からと聞いて、ちょっとびっくり。天孫降臨伝説の主人公である邇邇芸命(ニニギノミコト)と出会った木花之佐久夜毘売は、この地に産屋を建て「火照命(ホデリノミコト)」、「火須勢里命(ホスセリノミコト)」、「火遠里命(ホオリノミコト)」を生んだと伝えられています。その縁から館内に「木花の社」を祀り、安産の神として多くの方が訪れるほどに。無事赤ちゃんが生まれました…とお礼が書かれた芳名帳が、いまや何十冊にも登ります。
こころづくしの「うぶやみたて」
数多くある宿の中から選んで来られるお客さまには特別なものを。そんな湖山亭うぶやの気持ちは随所で感じることができます。「うぶやみたて」。おみやげコーナー、ではなく、私たちがお客さまのために見立てた物、いかがですか…という心が入ったネーミングに感心。中をうかがうと、地元特産の甲州印伝をはじめとして、オリジナルのお菓子やお酒、携帯ストラップなどが豊富に。ここを覗くだけでも来る価値があると言えそうです。