個性的なプチホテルが点在するチェンマイ。大都会バンコクやビーチリゾートにはないその独特のキャラクターは、チェンマイ特有のランナースタイルやトラディショナルアートと密接な関係を持っています。2012年3月にグランドオープンしたばかりの137 ピラーズ ハウスも、その1軒。すでにアメリカのトラベル誌で「ベストニューホテル」に選出された、小さいながらも世界中の注目を集めているホテルです。
名前の「ピラー」は「柱」の意味。チークの柱が137本あることからそう命名されたのですが、もともとは1889年に建てられたという古い館。木材会社がピン河沿いに造ったものを移築・改装してホテルにしているのです。敷地造成も家本来の持つ雰囲気を損なわないように配慮されており、館内を歩いていると別世界に迷い込んだようなノスタルジックな気分になります。
全30室の客室はすべてスイート仕様。アンティーク調の家具とモダンな設備、素朴なテイストとスタイリッシュなデザインが美しく融合。その極みが最上位カテゴリーのプールスイートで、何一つ妥協のない家具や調度品を配し、都会的な優雅さとリゾートのような心地よさを追求。特にバスルームはバスタブの向かいに置かれた大きなソファや模様タイルのシャワースペースなど、ちょっと他ではお目にかかれないロマンティックな空間になっています。
ミニマルデザインから、アーバンリゾート風へと移行しつつあるリゾートのトレンドに、あえて逆らうようなスタイルを打ち出しているタンゴ ラクス ビーチヴィラ。ヴィラ建設がまだ飽和状態になっていないサムイ島北部のチョーモンビーチにオープンした、通好みのリゾートです。
オーシャンフロントのフラットな敷地に植え込まれた、あふれるようなグリーン。昔ながらの木造住宅を模した客室ヴィラは、その中に埋もれるように配置されています。木、石、茅など建材も実にトラディショナル。今や廃れつつあるそんなオーソドックスなしつらえは、反対にハッとするほど新鮮で、ロビーに入った瞬間、「タイに来た!」という実感がこみ上げてきます。とはいえ家具や調度品には、モダンなスパイスも加味されていますから、単なる懐古趣味とはワケが違うのです。
客室ヴィラは、すべてプライベートプール付き。ブルーのタイルが昼間は日の光を受けてさわやかに、夜はライトアップでミステリアスに輝いています。リビングとベッドスペースは木材メインの、ぬくもりと安らぎに満ちた内装。ベッドからプールへ一直線にアクセスできる構造もすてきです。バスルームはひんやりとしたストーン素材。猫足のバスタブでエレガントにくつろぎましょう。オリエンタルキュイジーヌのビストロやタイ舞踊が披露されるラウンジバーにも、ぜひ足を運んでみてください。
建築家エドワード・タトル氏が手がけ、1990年にオープンしたチェディが名称を変更し、再びタトル氏の手によって「ザ スリン」として生まれ変わったのが2010年のこと。ビーチを望む急斜面を最大限に活かした敷地造成や、ファンの誰もが愛した通種「ブラックプール」はそのままに、デザインホテルズの一員として新たなスタートを切りました。
もともとチェディが迎えてきたゲストは、その多くがリピーターでした。ロビーからプール、ビーチにいたる長い階段や起伏に富んだ客室コテージの配置は、元気な若者でもちょっと厳しい構成。しかし、それでも、というかそれゆえにファンはこのリゾートを愛し、毎年のようにバカンスを過ごしてきたのです。スリンが巧みだったのは、そんなファンを失望させなかったこと。自分たちが愛したリゾートのスピリットが大切に守られている・・・。だからたった2歳のスリンでも、「昔からの」ゲストがたくさんいるのです。
スリンになって変わったのは、コテージ内のカラーリングだけと言ってもいいかもしれません。黒やダークブラウンを基調とした重厚でミステリアスなムードは、サンドグレーの明るくロマンティックな雰囲気に。このカラースキーム変更により、バスルームには想像以上の開放感と爽快感が生まれました。居心地はよく、でも贅沢に。ザ スリンは高級リゾートビギナーには、登竜門としても最適の1軒です。
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