ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.
70

父親が語る「子連れ旅」その1

ミスターMのおいしい旅の話 父親が語る「子連れ旅」その1

みなさま、マダムヨーコでございます。今回と次回は、みなさまからご要望が絶えない「子連れ旅」がテーマでございます。「うーん、それはちょっと私には荷が重いな」というミスターのご紹介で、ファミリートラベルの達人であるS氏に、マダムがお話をうかがってまいりました。子連れ旅といっても、単なるノウハウではない、もっと広い意味での旅のあり方を示唆してくださったS氏。子供のいない方でも、きっと興味深く読んでいただけると思いますわよ?。

旅先は海とプールがあればいい

達人といわれても・・・子供を持っている方ならおわかりの通り、子連れの旅は非常に物入りなんですよ(笑)。だから、毎年のように親子で海外に行けるわけではないんですけどね。子供は3人いますが、最初はいちばん下の子が5歳の頃かなあ。いや、さんざんでしたよ。本当に、ただ疲れただけというか。そんなこんなで経験を重ねていき、最終的に「これだ」と確信したのが、親子旅のデスティネーションは海とプールがあればいいということ。とにかく子供はエネルギッシュですからね。遊んでも遊んでもまだ遊べる。海とプールがあれば、そのパワーは、何とか発散できるんです。

ハワイに行きたいならワイキキを外す

というと、やっぱりワイキキか、と思われるでしょう? 違うんです。反対に、ワイキキは小さな子供を連れて行くにはふさわしくない場所。あそこは、大人がのんびりくつろぐためのリゾートなんです。理由は、あまりに普通すぎるから(笑)。ワイキキでは食べ物も、体験できることも、ほとんど日本と変わりないんですよね。せっかく海外に連れて行くのに、全部日本語で事足りて、ファストフードや日本食ばかり食べさせることほどつまらないものはないじゃないですか。それに、日本人が多すぎるのもイマイチ。それなら、日本のビーチリゾートで十分なんです。

もしどうしても親子でハワイというのなら、私はハワイ島なりマウイ島なりの、島をおすすめします。もっと言えば、レンタカーを借りなければ動けないようなところがいいですね。オアフ島もワイキキを外して、ノースショアとかね。アクティビティ主体で滞在拠点を選ぶのがポイントです。あっちには、タートル湾や牧場なんかがあるでしょう。少し南に走ればハナウマ湾やダイヤモンドヘッドにも行ける。ワイキキを外せばホテルもかなり安くなりますから、一石二鳥です。

ベストは東南アジアのビーチリゾート

子供を連れての海外旅行は、できるだけいろいろなことをする・させるべきなんです。環境も、食べ物も、体験も。これまでしたことのないものと遭遇させてやる。それが子供にとって未知の社会経験となり、異文化を肌身で知る機会になるのです。危険だ、心配だと、親があまりに臆病になりすぎてはいけませんよ。大前提として、高いお金を払ってまで、なぜ海外に行くかを考えるべき(笑)。ゆえに「海外ならでは」の雰囲気が味わえるところを選ばなければ、もったいないというわけです。

それを踏まえて、親も子もリフレッシュでき、なおかつ印象的な滞在ができるのはどこかというと、私は東南アジアのビーチリゾートがベストなのではないかと思っています。東南アジアというと、「食べ物が」「水が」と懸念する人が多いですよね。でも、この時代、よっぽど僻地のリゾートにでも行かない限り、とんでもなく不衛生なんてことはあり得ません。それに、どんなものを食べさせるかは、親が状況と加減を考えればいいわけで。たいがいのものは、子供だって食べられますよ。それよりも、東南アジアのビーチリゾートで親が気をつけなければいけないのは、「虫」と「怪我」です。つまり、日本にいるのと同じように心配していれば大丈夫ってことです。

東南アジアはすべてがエキサイティング

東南アジアのビーチリゾートの良さはいろいろありますが、何よりもビーチが長く続いているのがいいですよね。途中にレストランやお土産屋があったりと、変化に富んでいるので、歩いているだけで楽しめるんです。また現地で参加できるオプショナルツアーも魅力的です。エレファントライドのように、珍らしく、かつエキサイティングなアクティビティがたくさんある。私も子供と一緒に象に乗ったことがありますが、その日はものすごい土砂降りでね。カッパを着てみんなでガタガタ震えながら、ジャングルの中を進んでいったなあ・・・。こういう強烈な経験は、いくら年月が過ぎても、親も子も絶対忘れないですよね。子供がもっと大きいのなら、ダイビングやトレッキングなどにチャレンジするのもいいですね。私の友人にも、成人した子供たちと、ダイビング目的で毎年海外に家族旅行をしている方がいます。うらやましいですよ。

子連れ旅、理想の宿泊施設は・・・

宿泊施設に関しては、ロケーションでいえばオンザビーチがベストですね。子供ってすごいんだけど、一日海で遊んでも、ホテルに戻れば、まだプールで遊びたいって言うの(笑)。オンザビーチなら、どっちも簡単に行き来できるから、親の体力の負担も少なくてすみます。非日常感もあるしね。気分転換にビーチを散歩してもいいし、プールとは違う海の楽しさが一緒に満喫できるでしょ。小さな子供も参加できるアクティビティも豊富です。でも、まあ、オンザビーチでなくても海に歩いて行ける場所なら大丈夫かな。

そして、選ぶならヴィラタイプかトータルリゾートのどちらか。ヴィラなら、リビングと寝室が分かれているタイプが理想的。プライベートプールがあればなおいいですね。ただしプールは段差と、ある程度の大きさがあることが原則。プランジプールじゃ泳げないし、深いプールは危ないですから。リビングやベッドルームから庭全体が見渡せる構造になっていると、子供がプールで遊んでいても安心です。ヴィラの最大の長所はプライベートスペースが独立している点。これなら子供がどんなに騒いでも気兼ねがいりません。また、ほとんどがフルキッチン付帯なので、自炊ができるのもありがたいです。

一方、便利さでいえばトータルリゾートに軍配が上がります。特に多彩なプールがあるなら申し分なし。ジャングルプール、流れるプール、飛び込み台、スライダーなどなど。子供が遊ぶのが前提になっているプールなら、いくら騒いでも恐縮する必要はないし、種類があれば飽きずに終日遊んでいるので、親がずっと相手をしなくてもすみますからね。とはいえ、目を離すのは禁物ですよ。海もそうですが、たとえライフガードがいても安心せず、絶えず目の端に子供の姿をとらえているようにしましょう。またトータルリゾートには医師が駐在している場合が多いので、いざという時にすぐに診てもらえます。

トータルリゾートに泊まるならクラブフロアに

トータルリゾートの便利さをもっと活用したいのなら、ぜひクラブフロアに滞在してください。通常、クラブフロアというとビジネスユースを想像しますが、リゾートではファミリー向けになっていることが多いんです。そしてサービスが充実している。ラウンジで軽食やドリンク類が一日中サービスされる。これは子連れ滞在にとって、大いなるメリット。子供は突然お腹がすくし、いつも喉が渇いていますから、そのたびにレストランやバーでオーダーしていたら、そうでなくともバカにならない食費がとんでもないことに(笑)。通常の客室よりは料金はやや高いですが、私はクラブフロアに泊まる方が、最終的には割安になると思います。

ではもう少し奮発してスイートにすれば、さらにハッピーかといえば、そうでもないんです。子供が添い寝できる年齢で1人だけというなら問題なしですが、ある程度の年齢で2人以上なら、スイート1室というのはちょっと狭い。エキストラベッドを入れても、快適な空間は確保できません。だったら、クラブフロアでコネクティングルームをアレンジしてもらう方が、親も子もストレスなく過ごせると思いますよ。

クラブラウンジでマナーとルールを学ばせる

そして子供にクラブラウンジを使わせることは、マナーを教えることにもなります。水着のままでいいのか、いけないのか、ブッフェではどういう食べ方をすればいいのか等々、日常にはないシチュエーションでマナーや社交を学ばせるいい機会です。ナイフやフォークの使い方も含め、親が率先して手本を示してやりましょう。言葉が通じないだけに、子供も少しはお行儀よくすることを覚えるかもしれませんしね。まあ、アジアのリゾートは子供にもていねいに対応してくれるので、親子ともども威圧感を受けずに過ごすことができるはず。これも、自分の意思を常に表示していないと肩身が狭い思いをする欧米よりも、アジアをおすすめする理由の一つです。

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S氏の「子連れ旅」観、いかがでしたか? なるほど?と子供のいないわたくしも感心しきりでございます。次号は、さらに子連れ旅におけるフライトのコツや、子連れ旅の原点まで掘り下げたお話をお届けしたいと思います。またまた新パターンが登場した「おいしい旅の話」、これからも、どうぞよろしく&お楽しみに!

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