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私が見たアメリカのホテル
アメリカの一流ホテルで日本人マネージャーとして10年間勤務した著者が、日々の仕事の中でふと目にしたシーンから、日米の文化的な違い、考え方の背景にあるものなどをつづります。  著者紹介はこちら>> 
第14回 法律の国と常識の国 NEW!
第13回 労働組合の力
第12回 レベニューマネージャーの力
第11回 セクハラ意識の薄い日本のホテル
第10回 素晴らしきアメリカのホテルのノウハウ
第9回 大雑把なアメリカのホテル運営
第8回 ホテルはコーポレート・イメージの象徴
第7回 オーバーブックへの理解
第6回 歴史に根をもつ日米のサービス形態の違い
第5回 アメリカのホテルの環境保護対策
第4回 アメリカのホテルのセキュリテイー設備
第3回 ホテルの選び方
第2回 チップの誤った常識
第1回 アメリカの一流ホテルのホスピタリティー
第14回
法律の国と常識の国

禁煙の規制が益々強くなってきたアメリカ。ホテルでも、全館禁煙とするところが増えてきた。だが、アメリカの人がほとんどタバコを吸わないかといえば、そんなことはない。喫煙者も多くいる。それにもかかわらず、こうしたことを断行する企業。そして、それを容認する人々。私はそこにアメリカの素晴らしさを感じる。

ほぼ単一民族国家だった日本。同じ文化の中で育った人の考え方は似通ったものになる。だから、人々は常識というものを持ち、それにそって動く。常識から外れた行動をとる人は、「非常識な人」と言われて、疎外されることになる。 だが、常識の範囲は人によって差がある。それが争いのもとになる。たとえば、喫煙席にいる幼児の前でタバコを吸っていいものかどうか。喫煙家は、「タバコが気になるのなら禁煙席に行けばいいでしょう。そのために禁煙席があるのだから。」と言った。幼児の親は、「禁煙席があいてないから、仕方なしにこちらに回されたのです。だから、喫煙を止めてください。」と言った。どちらに分があるだろうか。

アメリカは、こうした人の主観の違いによる争いが起こらないように、法律でレストラン全てを禁煙にしてしまった。「他人の健康を害す権利は誰にもない。」という基本事項にのっとり、人が争う余地のないものにしてしまったのだ。 アメリカは移民の国。さまざまな国からさまざまな文化風習を持った人々が集まった。必然的に常識もさまざまなものになる。だから、常識任せでは社会は成り立たない。そこで、人々の行動の指針となるものを用意しなければならなかった。それが法律。法律で決められれば、誰も文句は言わない。従えないものはアウトローと呼ばれ監獄に入ることになる。法律社会と言われるゆえんである。

常識や人の自主性に任せて、ことがすべてうまく行けば、そんなに素晴らしいことはない。だが、時代とともに人の考えはますます多様化してきている。もはや常識任せではうまく行かない世の中となっている日本。このまま放置すれば、人の争いは増え続けることになるだろう。日本もアメリカのように、もっと法律を身近なものにして物事の白黒を明確にしなければならない時代を迎えていると私は思う。

著者:奥谷 啓介
1960年東京都生まれ。ウエステインスタンフォード&プラザシンガポール、ハイアットリージェンシーサイパン等勤務の後、1994年よりニューヨークのプラザホテルに就職。2005年プラザホテルの閉館に伴い退職。現在はニューヨークにてホテルコンサルタントとして活躍中。

【HP】奥谷 啓介オフィシャルサイトはこちら http://www.okutanikeisuke.com/
「世界最高のホテル プラザでの10年間」
ニューヨークの最高級ホテル「ザ・プラザ」に10年間勤務した日本人マネージャーが書いた、「フロントデスクの内側から見た日米比較文化論」。日米文化の差により生じる、日本人がアメリカで陥りやすいトラブル、恥ずかしい行いなどの例を挙げ、「なぜそれが起きるのか」「防ぐにはどうしたらよいか」をプロの立場から辛口のアドバイス。快適な海外旅行を楽しむための必読本です。
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