アメリカの一流ホテルのサービスについて書かれた本が増えてきた。どれも、その著者が勤める、あるいは勤めたホテルチェーンのサービス方針がいかに優れているかを述べたものだ。
確かにアメリカのホテルは日本のホテルよりも優れたサービスと運営方針を持っていると私も思う。日系のホテルで働き、転勤という形で海外ホテルでの経験を積んだ人々の意見もこれに関してはほぼ一致している。
だが、ここでとり間違えてはいけないのは、だからと言って、アメリカの一流ホテルが常に日本のホテルよりもいいサービスを提供しているわけではないということだ。本に書かれていることはあくまでも論理。教えであって、必ずしもそれが実践されているとは限らない。なぜ、アメリカのホテルがそれほど優れたノウハウを持つようになったのかという理由を考えれば、それが分かる。
アメリカのホテルは強い資本主義のプレッシャーの下、最低限の人数で運営をしなければならなかった。また、従業員も日本のように勤勉ではないし、愛社精神に富んでいるわけでもない。さらに、「お客様は神様です」的な考え方もしない。そうした環境下で、いかに利益をあげられるか。また、いかにいいサービスを提供できるかという課題に真剣に取り組んできた。その結果、素晴らしいノウハウが育つことになったのだ。
一方、日本には、優秀な人材があったし、利益追求を求めるオーナーからのプレッシャーもそれほど強くなかった。だから、ノウハウを必死になって磨く必要性に迫られなかった。ここに大きな差が生じる理由があった。
しかし、それでも、優秀な人材は絶対の卓越性を持つ。ノウハウがどんなによくても、優秀な人材を揃えている組織にはかなわない部分がたくさんでてくる。この点を認識しておかないと、書物から得る知識だけで頭でっかちになり、実際に海外のホテルに泊まってみて、大きな不満を募らせるということになりかねない。
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