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聴こえてきそうなゲトライトガッセで小休止を 

ゲトライトガッセはザルツブルクのエッセンスがたっぷりつまった小さな通り。見上げてみると、何代も続いているような貫録あるお店からファストフード店まで、いずれも趣向を凝らした鉄細工の看板が掲げられています。これはかつて、字の読めない人(中世ヨーロッパの識字率は大変低かったのです)のために、ここがどんなお店なのかを一目でわからせてくれる役割を持っていたとのこと。人々の優しさがこめられた美しい「飾り物」なのですね。

散策はザルツァッハ川からはじめましょう。まずは、旧市庁舎の向かいの道を少し入ったところにあるホテル、エレファントを見学。代々にわたる家族経営の老舗ホテルで、館内には歴代オーナーが収集した珍しいアンティークが飾られています。ちなみに、ホテル名はかつてザルツブルグ公がスペインの王からプレゼントされた象にちなんだものだとか。その象は、長旅の疲れか、環境の変化のためかすぐに死んでしまったそうですが・・・。

さて、ゲトライトガッセに戻り、西へ進みます。昔ながらの小体なエントランスとのお店は、ちょっと入りづらいかもしれませんが、店員やオーナーはみなとてもフレンドリー。特にランジェリーやアクセサリーのお店は要チェック。いわばセレクトショップ風のこだわりの品ぞろえで、思わぬ掘り出し物が見つかることがありますよ。

ひときわ人だかりができているのが、モーツァルトの生家です。以前は入り口から階段まで、ほぼ当時の様子を再現した素朴な造りでしたが、このほど改装が終わり、近代テクノロジーを駆使した立派な「博物館」になりました。ただ、昔の、階段から幼いモーツァルトがひょいと顔をのぞかせそうな雰囲気が好きだった人には、やや残念かもしれません。

この通りには2軒のとても個性的なホテルが軒を構えています。ひとつがゴルデナー ヒルシュ。旧市街では最高級の豪華ホテルで、あのカラヤンをはじめ、多くの著名人の定宿として、現在でも予約が取りにくいことで有名です。日本語に訳すと「金のシカ」。そしてもう一軒が日本語訳で「青いガチョウ」、ブラウエ ガンスです。ゴルデナー ヒルシュナーがクラシックにこだわり続けるのに対し、こちらは館内いたるところに飾られたポップアートが心躍らせてくれる、斬新なコンセプトのホテル。世界中の新進気鋭のアーティストが滞在するため、フレッシュなムードにあふれています。

どんなにゆっくり歩いても、あっという間に終わってしまうゲトライトガッセ。でも、通りから南に出ている小さな路地には、まだまだお楽しみがいっぱいです。手作りの民芸品や民族衣装が並ぶ小さなお店、かと思えば目の飛び出るような1点もののジュエリーが置かれていたり・・・。石造りのドームに歴然と残るいにしえの香り、秘密めいたムードが胸をときめかせてくれるでしょう。

こうした小道の脇には、木々の下にテーブルを置いたカフェやレストランがあり、オーストリア産のワインや郷土料理が味わえます。おすすめはきりっとした白ワインとマスやサーモンのグリルの組み合わせ。オープンエアなので雰囲気はとてもカジュアルです。晴れた日には、ドラフトのビールをグローサーでどうぞ!
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