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インタビュー


富澤孝子さん
バンコク:ホリデイ・イン・シーロム
ダイレクターオブセールス
埼玉生まれの富澤さんは高校卒業後、ヘアケア商品で有名な化粧品会社に勤務。たった一人の女性アシスタントとして30人の男性営業マンと働きました。その後、カナダの大学に留学。帰国後、改めてホテルマン養成学校への留学を考えていた時に、運命の転機が・・・。

いろいろ考えている時に、プーケットに遊びに行ったんです。宿泊していたシェラトンで友人と共にパーティーで総支配人に引き合わされたのですが、彼に「明日オフィスに遊びに来なさい」と。何も考えずに、水着の上にTシャツを着て、足元はサンダル。しかもビーチボールを抱えたまま訪ねていったら、1時間後には「今度、新しくゲストリレーションになる人だから」と、周りのスタッフに紹介されていたという・・・。そして帰国を追うように契約書が届き、3カ月後にはプーケットに移住です。もう、自分でもビックリの展開。
シェラトンではゲストリレーション、リザベーションマネジャー、レベニューマネージメント、セールスと、ひと通りの業務に携わりました。現地人以外でリザベーションマネジャーになったのは、私が初めてだったらしいです。いろいろな役職に就けたのはいい経験でしたね。どこの会社もそうでしょうけれど、営業だけやっていると、オペレーションの事情はわからない。そしてオペレーションからも営業の仕事は見えなくて対立が多いでしょう。私もオペレーション・サイドにいる時は何度も「セールス、殺す!」と思いましたもん。でもその双方を経験し、さらに両者を取り持つレベニューマネージメントを務めたことで、大きな視野から仕事全体をとらえることができるようになった。まだやっていない役職は・・・支配人だけかな!?
今いるホリデイ・インシーロムでは、いつも「こんな日本人初めてだ!」と言われています。はっきりモノを言いますからね〜。ミーティングなんて常に戦闘態勢ですよ。納得がいかないとつかみ合い寸前になるし、捨てゼリフを残して退出しちゃう。部屋に戻って「キーー!」とか言いながら、物を投げたり泣いてみたり・・・。普通の日本人スタッフは、なるべくことを荒立てないように、素直に言うことを聞いちゃうんですよね。でも、私は自分が納得するまでは譲らない。うーん。さすがに巳年・蠍座・B型だ。

そのうちケンカ相手が「一杯どう?」って誘ってくる。お酒を飲みながら和解、というパターンが多いかな。お酒は強いですよ。自称「新規バー開拓隊隊長」。
お客様からも「いいお店ない?」と聞かれることもあるので、チェックは怠れませんね。でも、一人だとほとんど飲まないんです。お酒のある雰囲気が好きなんですね、きっと。どんなに飲んでも割りと最後までしっかりしています。きちょうめんな酔っ払いってヤツ? 一度でいいからベロベロになって、人のお世話になってみたいけど、いつの間にか仕切っているんだなあ・・・。
ホテルマンはマゾが多いのかもしれないな。みんな文句や愚痴があっても、やっぱり最後はホテルの仕事に戻っている。頭を下げるばっかりの職業だけど、やっぱり楽しいんです。もちろんメチャクチャ忙しいですよ。特に年末。どうやって休みを捻出するかで、シンガポール人の上司といつも熾烈な戦いを繰り広げるの。「俺はクリスチャンだからクリスマスは重要なんだ。でも君は日本人だから違うだろー」って。そりゃそうだけど・・・。でも、去年の年末は違ってた。というか、それ以上につらかった。あの津波があったから。

私はプーケットで暮らしていたこともあり、あそこは第二の故郷のように思っているんです。津波の第一報を受けてから、とにかく自分のできること、コネ、あらゆることを使って、バンコクの友人と連携しながら現地のお手伝いに没頭しました。自分の寝るところさえ確保できていれば、あとはなりふり構わずという感じ。感傷とか落ち込んでいるヒマも無いくらい。それで気がつかないうちに、自分のキャパシティを超えちゃったんでしょうね。新年に、ついに倒れてしまいました。
それまでも「また入院!?」と言われるくらい、各種病気にかかっていた私。笑えるところではデング熱にも伝染しちゃって、家の周りに消毒をまかれたこともあるくらいで。その時は高熱と悪寒がひどくて身体はきつかったけれど、今回は心がきつかった。意識を失って運ばれていく救急車の中で、泣きながら「プーケットに帰らなくちゃ」とつぶやいていたそうです。今でも自律神経のコントロールがうまくいかなくて、しんどいことも多いです。あれ、私ってこんなに弱かったんだ、って愕然とする。ありがたいのは、友人がみな親身にフォローしてくれること。前は絶対に弱味を見せたくないって思っていたけれど、今は素直に甘えています。本当に感謝しています。
現在は、ようやく毎日のリズムが戻ってきたところです。相変わらず「できる可能性のあることは全力でやる、できないことはハッキリ言う、そして必ず代案を出す」という姿勢は貫いています。仕事の中で自分のポジションをどう上げていくか、数年後に自分はどうなっていたいのか、そのビジョンをしっかり持たないと、何も身に付かないと思うんですよ。相手が理解するまで徹底的に話し合うことも大切です。部下の査定も厳しいですよ。ミスは2度までしか許さない。謝るだけじゃダメなんです。同じことを繰り返さないために、どう努力・改善するかという前向きの姿勢を見せてくれよ、と。

タイに来てもう10年になります。父はジュエリー作りの職人なので「そっちでいい石があれば、いつでも作ってやるぞ」と言ってくれるのですが、父の目がヘタに肥えているので、怖くてかえって買えないです。こんなにたくさんショップがあるのにね。溜まるのはカタログの切り抜きばっかり。まだまだタイで仕事をしていくと思うので、これは将来のお楽しみにしておきましょう。
(この内容は、2005年取材時のものです。)
ホリデイ・イン・シーロム

BTSチットロム駅からすぐのところに位置するホテル。外観はシンプルな白い建物のままだが、2005年に大規模な改装を終え館内はモダンな雰囲気に生まれ変わった。客室はアースカラーを基調としたスタイリッシュなインテリア。
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