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私が見たアメリカのホテル
アメリカの一流ホテルで日本人マネージャーとして10年間勤務した著者が、日々の仕事の中でふと目にしたシーンから、日米の文化的な違い、考え方の背景にあるものなどをつづります。  著者紹介はこちら>>
第10回
素晴らしきアメリカのホテルのノウハウ

アメリカの一流ホテルのサービスについて書かれた本が増えてきた。どれも、その著者が勤める、あるいは勤めたホテルチェーンのサービス方針がいかに優れているかを述べたものだ。
確かにアメリカのホテルは日本のホテルよりも優れたサービスと運営方針を持っていると私も思う。日系のホテルで働き、転勤という形で海外ホテルでの経験を積んだ人々の意見もこれに関してはほぼ一致している。

だが、ここでとり間違えてはいけないのは、だからと言って、アメリカの一流ホテルが常に日本のホテルよりもいいサービスを提供しているわけではないということだ。本に書かれていることはあくまでも論理。教えであって、必ずしもそれが実践されているとは限らない。なぜ、アメリカのホテルがそれほど優れたノウハウを持つようになったのかという理由を考えれば、それが分かる。
アメリカのホテルは強い資本主義のプレッシャーの下、最低限の人数で運営をしなければならなかった。また、従業員も日本のように勤勉ではないし、愛社精神に富んでいるわけでもない。さらに、「お客様は神様です」的な考え方もしない。そうした環境下で、いかに利益をあげられるか。また、いかにいいサービスを提供できるかという課題に真剣に取り組んできた。その結果、素晴らしいノウハウが育つことになったのだ。

一方、日本には、優秀な人材があったし、利益追求を求めるオーナーからのプレッシャーもそれほど強くなかった。だから、ノウハウを必死になって磨く必要性に迫られなかった。ここに大きな差が生じる理由があった。
しかし、それでも、優秀な人材は絶対の卓越性を持つ。ノウハウがどんなによくても、優秀な人材を揃えている組織にはかなわない部分がたくさんでてくる。この点を認識しておかないと、書物から得る知識だけで頭でっかちになり、実際に海外のホテルに泊まってみて、大きな不満を募らせるということになりかねない。

バックナンバー
第1回 アメリカの一流ホテルのホスピタリティー
第2回 チップの誤った常識
第3回 ホテルの選び方
第4回 アメリカのホテルのセキュリテイー設備
第5回 アメリカのホテルの環境保護対策
第6回 歴史に根をもつ日米のサービス形態の違い
第7回 オーバーブックへの理解
第8回 ホテルはコーポレート・イメージの象徴
第9回 大雑把なアメリカのホテル運営
第10回 素晴らしきアメリカのホテルのノウハウ
第11回 セクハラ意識の薄い日本のホテル
著者:奥谷 啓介
1960年東京都生まれ。ウエステインスタンフォード&プラザシンガポール、ハイアットリージェンシーサイパン等勤務の後、1994年よりニューヨークのプラザホテルに就職。2005年プラザホテルの閉館に伴い退職。現在はニューヨークにてホテルコンサルタントとして活躍中。

【HP】奥谷 啓介オフィシャルサイトはこちら http://www.okutanikeisuke.com/
「世界最高のホテル プラザでの10年間」
ニューヨークの最高級ホテル「ザ・プラザ」に10年間勤務した日本人マネージャーが書いた、「フロントデスクの内側から見た日米比較文化論」。日米文化の差により生じる、日本人がアメリカで陥りやすいトラブル、恥ずかしい行いなどの例を挙げ、「なぜそれが起きるのか」「防ぐにはどうしたらよいか」をプロの立場から辛口のアドバイス。快適な海外旅行を楽しむための必読本です。
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