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あこがれの高級ホテル


ルンピニー公園を望む一角にどっしりとたたずむデュシタニ。バンコクの威信と洗練の象徴であった第一級のホテルが見せるその外観は、鏡面ガラスとスチールをふんだんに使った現代的な建築物が増え続けるこのエリアにあって、今やどことなく寂しげだ。確かに古びた印象は否めない。でも、それでもやはりデュシタニは「一度は泊まりたい」ホテルなのである。

角柱から円柱へと変化する独特な形状の柱が屹立するロビー。白い天井に外光が反射して、深紅のじゅうたんを美しく彩る。そこかしこに、ふんだんな生花。ショッピングアーケードへ続くスペースは階段と段差を巧みに活かし、重厚な造りの調度品が立体的かつ華やかな空間を演出する。そのどこか傲慢さすら感じさせるたたずまいは、ここを訪れる各国要人やセレブレティたちの自尊心と華やかさを、あたかもホテル自身が飲み込み反映させてきたかのようだ。
できることならデラックス以上のカテゴリーの客室に滞在してみたい。ソファやベッドはゆったりとした西洋サイズ。一方、タイ伝統様式の家具類は、私たちアジア人の身体に最もなじむやや小振りな大きさだ。そのひとつひとつをじっくり観察すると、表に見えない部分まで、いかに丁寧にかつ手の込んだ細工が施されているかに気がつくだろう。ワーキングデスクの優美な曲線を描く足、キャビネットの取っ手の装飾。素朴なタッチの絵画。そして何よりも、最高級のタイシルクを存分に使ったファブリックの色と感触。ここはタイなのだ、タイの粋を集めた部屋にいるのだ。そんな興奮がこみ上げてくることだろう。
ルームサービスを頼んでみる。大きなカートを運び込んできたスタッフは、真っ白なテーブルクロスをはらりと広げ、カトラリーを几帳面にセッティングし、氷の入ったグラスを用意する。リビングは、あっという間に個室レストランに早変わりだ。部屋食のわびしさなどみじんもない。彼が退出したあとも、テーブルに向かう背筋がつい伸びてしまう。そこまで気を使う必要はないのかもしれない。しかし、デュシタニのスタッフの礼儀正しいふるまいは、ゲストにもできればそうあって欲しいというささやかなリクエストでもあるのだから。
頼んでいたクリーニングが戻ってきた時にも、あなたは目を見張ることだろう。素材からメーカー、担当者が気づいた傷や汚れをどう手入れしたかのリスト付き。ちょっとしたほころび程度なら、きれいに直っている。もちろん配達の前には一報が入る。何の予告もなくノックして、くつろいでいるゲストを慌てさせるようなことはしないのだ。
ジャクージ付きの広いバスタブは開閉式の窓付き。もともと充分な広さがあるのに、さらに閉塞感のない構造にされている。各種アメニティはスパで使用しているものと同種類の極上品。香炉に火を入れれば、ひたすらリラックスしたバスタイムが満喫できる。お望みなら、浴槽の中から寝室のテレビも見ることもできる。こうなったら、もうどこにもいかなくてもいい。ここがもはやリゾートなのだ。
デュシタニの「古さ」にガッカリしたという話もある。それならもっと気軽で設備も新しいホテルの方が快適だよ、という人も。しかしデュシタニは、決して変わらないだろう。頑固な老人のように自分の姿を誇示していくはずだ。意地でも見栄でもない。それは、デュシタニという「人格」が、長年の経験と確信を持って表明している確固たる価値観なのである。時に融通が利かなくてイライラしても、尊敬すべき意志に満ちている。それがデュシタニなのだ。観光の拠点や「寝るだけ」のためのホテルとは違う。一度でいいから上等の部屋にこもって、退屈で贅沢な休日を満喫してみてほしい。これこそがデュシタニの楽しみの神髄なのである。
デュシタニ
★★★★★
客室数:500
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The Dusit Thani
Address : 946 Rama IV Rd.,Bangkok,10500,THAILAND
Phone : 66-2-2369999
Fax : 66-2-2366400
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