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知っておきたい建築様式学入門



Vol.6 バロック様式 (2/2)

バロック様式のホテル

バロック様式は、ひとことで言うと「豪華で重厚」。ですから、この様式で建てられたホテルは世界の各地にたくさんあります。

ただし「豪華で重厚」なホテルを建てるには、潤沢な資金と十分な時間が必要になりますから、普通この形式でつくられるのは4つ星や5つ星のホテルです。まれに、3つ星で建物の一部を豪華につくる場合や、一つ上のランク指定を狙う場合、あるいは、かつて4つ星であったものが降格したケース等もあるかもしれません。


コンラッド・インターナショナル・トレジャリー・カジノ
(ブリスベーン/オーストラリア)


バロック様式のトップバッターは、やはり5つ星。ゴールドコーストの玄関口、ブリスベーンの豪華ホテル。

石造の彫りの深いファサード(建物の正面)、エントランス周辺に密度の濃い彫刻的装飾要素を集中させ、その脇にイオニア式のローマバージョンの列柱、3階と4階の2層分を貫くいわゆるジャイアント・オーダーとなっています。

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フェアモント・ロイヤル・ヨーク(トロント/カナダ)

トロント中央駅の向かいにドーンと壁のように屹立する、この街のランドマークとなった4つ星ホテルです。地表からよく見渡せる5階までの低層部に装飾的要素を集中させ、途中の6階から20階まではむしろあっさりとしたつくりとしています。ホテルから少し引いて、遠くから見渡すこの建物の頂部、21階以上の部分には彫りの深い部分を再び集中させ、メリハリの利いた構成がなされています。
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オムニ・コロネード(マイアミ/アメリカ)

マイアミの高級住宅地に建つ豪華5つ星ホテル。不思議な雰囲気の建物で、現代建築の高層ホテルに、バロック様式の玄関を中心にもった低層部を合体させたような構成となっています。現代建築風にまとめられた部分も微妙に崩して懐の深さを感じさせてくれます。
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ウォルコット(ニューヨーク/アメリカ)

エンパイアステートビルから南に3ブロックという位置にある、このスタイルのホテルには珍しい3つ星。もしも看板を架け替えたら何になるか?と考えると、「銀行」などよりも、劇場とか、レストラン、結婚式場には相応しいでしょう。(銀行は重厚さは好みますが、このような華麗さ(見方によってはケバさ?)を嫌うのです。)
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ウィラード・インターコンチネンタル
(ワシントンDC/アメリカ)


合衆国の首都、ホワイトハウスから東に2ブロックの位置にある5ツ星ホテル。12階建て、340室の大型ホテルで、低層階にはルネサンスの雰囲気を残していますが、頂部は装飾的要素が密度高く集積されて重厚華麗な姿にまとめられています。
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アトランティック(ニース/フランス)

国鉄中央駅まで徒歩圏のニースの中心市街地、ヴィクトル・ユゴー大通りにある4ツ星ホテル。2階〜4階を貫くピラスター(付け柱)のジャイアント・オーダーが特徴です。全体の印象としては“やや薄味のバロック”とでもいうべきものです。
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プラザ・アテネ(パリ/フランス)

セーヌ右岸、凱旋門とエッフェル塔とグランパレにほぼ等距離で、いずれも徒歩圏という好立地条件のクラシックスタイルの豪華5つ星ホテル。彫りの深いベージュの石造建築に小粋な朱色のテントが好対照をなしています。
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メリディアン・パルク(フランクフルト/ドイツ)

中央駅ちかくにある5ツ星ホテル。レセプションのある旧館は歴史的建造物で、国の記念碑として指定されています。ピンク御影石の彫りの深い外装が最大の特徴。屋根窓周囲の天然スレートの黒が全体の印象を引き締めています。
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ダヌビウス・ゲレルト(ブダペスト/ハンガリー)

ドナウ川右岸(ブダ地区)ゲレルト山の麓(ふもと)に建つ室数233の4つ星ホテル。ウイーンと並びハプスブルク・ワールドの二焦点の一つとして、重厚な街が作られ、それが今日まで保存されていますが、そんな街に実に相応しい重厚かつ気品を感じさせる建物です。温泉施設が充実しています。
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リッツ(マドリッド/スペイン)

レティーロ公園に隣接しプラド美術館の向かいという、最高の立地にたつ5つ星ホテル。1910年、当時の国王アルフォンソ13世の命で絢爛豪華な建物が用意されました。淡いグレーの石積みの外壁に彫刻が施され、建物のコーナーにはドーム屋根を載せて装飾的要素を集中させています。内部にも重厚で華麗な装飾が施され、ビジターの目を楽しませてくれます。
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ユーロプ(チューリヒ/スイス)

チューリヒ湖のレイクビューで、なおかつ中心市街地にも近いという好立地の4つ星ホテル。この建築様式シリーズを公開順に見てこられた方なら、このホテルの外観がルネサンス様式をベースして、そこに装飾的要素を付加している感じがよくわかると思います。
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シュバイツァーホフ(チューリヒ/スイス)

チューリヒ中央駅前に建つ4つ星の豪華中規模ホテルで、外観は要所にコリント様式のジャイアントオーダーが設けられています。正面の最上階部分は屋根をカリァティード(人像柱)が支える形になって際立った装飾となり、円筒形の造形がなされたコーナー部分とあいまって、一度見たら忘れられないほど印象に残る形態をしています。
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ランガム・ロンドン(ロンドン/イギリス)

ハイドパークの北東、オックスフォード通りから1ブロック北にある大型5つ星ホテル。淡いベージュの石造りの車寄せが外観上のアクセントとなっています。装飾的要素が豊穣ではあるけれど、適度に抑えも利き、大人の雰囲気の安定したブリティッシュ・バロックです。別の表現方法では「ヴィクトリア様式」。
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リッツ(ロンドン/イギリス)

ハイドパークの東、グリーンパークの地下鉄駅から歩いてすぐのところにある131室の最高級5ツ星ホテル。「豪華とは?」「華麗とは?」「重厚とは?」「豊穣とは?」「格式とは?」「気品とは?」すべての答えがここにある、という完成度の高さ。外観も内部も装飾的要素の最高級のお手本です。
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構成・制作監修:栗田 仁(くりた じん)

建築家・東海大学講師。学生時代のヨーロッパ一人旅5週間以来、旅にはまる。
世界の終着駅建築、庭園、公共交通機関(とりわけ新世代高性能路面電車LRT)に格別の興味をもっている。
著書は世界35の街を描いたエッセイ『街はいつでも上機嫌』(静岡新聞社)ほか。

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