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中国・長春への旅〜ラストエンペラーの夢のあと〜 2003/4 ミヤーラ


北京からの国内線


偽皇宮


国務院


偽皇宮陳列館の入り口


偽皇宮陳列館の内部


関東軍司令部


羊肉串


東北名物の干豆腐の野菜巻き
長春 > 中国 投稿日:2008/2/24
私は2003年の春に、中国人女性と結婚しましたが、中国では、配偶者の出身省の省都の役所で、しかも夫婦二人そろって婚姻の手続きをしなければならず、春の休みを利用して訪中しました。吉林省の省都の長春(かつての新京)は、もと満州国の首都として、また、私の好きな映画『ラストエンペラー』が撮影された場所として、大変に興味深い街でした。二日間で手続きが終わり(結婚証の受領は3日後)、その間の2日間だけ時間的に余裕が出来ましたので、私達は市内の名所を訪問しました。

先ず偽皇宮を訪れましたが、ここは、日本の関東軍が皇帝溥儀のために、新しく建設しようとした皇居でした。が、太平洋戦争の勃発によって資金難となり、未完成に終わった皇居です。戦後、新中国が設計図通りに完成させ、現在は大学の施設として、また、一部は博物館として使用されています。その皇宮前広場は、中国では第二の広さをもつ広場で(もちろん、第一位は北京の天安門広場です)、市民の憩いの場となっていました。その広場を南に進むと、もとの官庁街=八大部(日本の霞ヶ関に相当する一角で、国務院・軍事部・司法部・交通部など)があり、私はその中の国務院を訪れました。

ここは満州国の最高行政機関で、日本の国会議事堂を真似て造られたそうです。当時は、この建物と長春駅、関東軍司令部などが地下道で連結されていました。正面の入り口の脇には、皇帝溥儀が植樹した木が目立っていました。入場料を支払うと、そこには日本語を話すガイドがいて、私達は当時のままのエレベーターに乗り、二階に上がって満州国の第二代首相の張景恵の執務室を見学しました。しかし、たまたま整理中であったのか、室内には遺品が散乱し、足の踏み場もないような状態でした。中国政府は、満州国を「偽満州国」と呼び、「満州国」色を抹消したがっていると聞いたことがありますが、この国務院の扱いを目の当たりにし、寂しい気持ちになりました。

翌日は、偽皇宮陳列館を訪れました。ここは、終戦まで皇帝溥儀が実際に起居した皇居で、溥儀の公的な部屋、私的な部屋などを見学できます。映画『ラストエンペラー』も撮影されました。ここは一九三四年に満州国皇帝の宝座についた溥儀が、一九四五年まで起居した仮皇居です。正門を入ると、先ず「緝熙楼」があり、ここは皇帝溥儀や婉容皇后、更に溥儀に寵愛された譚玉玲などの生活空間で、その奥に溥儀が執政した「勤民楼」がありました。ここには形ばかりの宝座、御見台、接見室などがありました。その東隣には日本が建てた「同徳殿」がありましたが、溥儀夫妻は盗聴や監視を警戒し、より立派で近代的なこちらの建物は、意識的に使用しなかったと言われます。

この時期、同陳列館では、北京の故宮博物院と提携した「末代皇帝展」を開催していました。多くの溥儀ゆかりの調度品が展示されていましたが、私が一番に目を奪われたのは陶器・宝石類ではなく、一台のさびれた自転車でした。これは、溥儀の家庭教師だったジョンストン氏が彼に贈り、その後、彼が好んで乗り回した、あの自転車の実物だと思います。

この長春に来る前、北京では紫禁城(故宮)を訪れましたが、その時、たまたま私達の間で「映画『ラストエンペラー』の中で、溥儀役のジョン=ローンが自転車を走らせていたのはどの辺か」ということが話題となり、あの赤い壁で挟まれた空間(通路)まで足を運んでいたので、特に印象的でした。数奇な運命に翻弄され、三度帝位に即き、三度退位をした溥儀です。中国の歴代皇帝の中で、唯一、民間人として火葬にされたので、彼は「火龍(火葬にされた皇帝=龍)」とも称されます。溥儀は、日本の傀儡たる側面を否定できませんが、自著『我が半生』を読めば、溥儀自身が相当な野心家であり、帝位に執着していたことが分かります。その彼の夢の具現化が「満州国(皇帝)」でしたが、現代中国では、この国家それ自体を認めていません。たった一台の、さびれた自転車でしたが、彼の夢のあとを追い、当時に思いを馳せるには十分でした。

ホテルへの帰り道、旧関東軍司令部を観ました(今は共産党の施設として使用されていますが、外観は日本の天守閣のようでした。中には入れませんでした)。長春では、タクシーの初乗りが五元でした。北京や上海だと初乗り10元ですが、西安や天津、長春などは五元です。羊肉串が一本一〇円弱、現地ビールは大瓶で五〇円、毎回の食事は二人で数百円以内・・・、この程度の物価です。その分、古き悪しき(良き?)中国の姿も色濃く残しており、例えばタクシーに乗った際、二回ほどボラれてしまいました。今や北京などの大都会では、当局の監視が厳しく、また外国人にも慣れて、「外国人を見たら、とにかくボってやろう」という意識も低下したせいか、ほとんどボラれることがなくなりました。お釣りの小銭を「プウ・ヤオ・ジャオラ(取っておいて)!」と言っても、頑なに拒否する運転手もいたくらいです。
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中国・長春への旅〜ラストエンペラーの夢のあと〜

北京からの国内線

偽皇宮

皇宮前の広場

八大部の1つ
 
国務院
 
偽皇宮陳列館の入り口

偽皇宮陳列館の内部
 
関東軍司令部
 
羊肉串

東北名物の干豆腐の野菜巻き
       
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