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特集 > 特集・男のドイツ > 何代でも乗り継げる車作り

車ほど男の闘争本能を刺激するものはない。ある時は権力の象徴として、ある時は自意識の象徴として。そしてまたある時は車そのものが持つ色気に、どうしようもなく恋い焦がれるのも男というものらしい。 ドイツ車が体現しているのは、それら全てを兼ね備え、凌駕し、さらに車としての完璧さをとことん追究していく、スペシャリストの魂だ。時代が変わり、そのフォルムもまた変わろうとも、鋼のような本質は決して変わることがない。そんなドイツ車の今昔を、行く末を、自分の目で確かめてほしい。
シュットゥットガルトにあるメルセデス・ベンツ博物館は名前こそ従来のままだが、現在の経営母体であるダイムラークライスラー社の製品もあわせて紹介されている。いずれも1号車から現在のモデルまでが並び、昭和天皇御料車のような歴史を彩った名車の数々を間近に見ることができる。とりわけマニアを狂喜させるのがレーシングカー群。最新鋭の機能を搭載した弾丸のような流線型のボディは、いくら眺めていても見飽きない魔力に満ちている。オリジナル・グッズを扱うショップもある。最寄り駅からは無料のシャトルバスが出ているので必ずそれを利用すること。
一世を風靡したスポーツカーの最高峰が展示されているポルシェ博物館。こちらもシュットゥットガルトにある。最寄り駅の正面に大型ショールームが居を構え、まずはここで度肝を抜かれる。この向かいがポルシェの本社ビル。そのスタイリッシュなデザインも必見である。博物館自体はさほど規模の大きいものではない。しかしポルシェには熱狂的なファンが多く、一台一台を食い入るように眺める入場者の姿が印象的だ。博物館にはショップが併設され、ポルシェのデザインの粋を投影したグッズが多数置かれている。ここでしか手に入らない品もあるので要チェック
ミュンヘンを拠点とするBMWは、本社に併設して博物館を備えている。場所はオリンピック公園の近く。敷地は広大だが博物館そのものはさほど大きくはない。展示方法もオーソドックスで、社歴に沿った技術の紹介と展示がメイン。往年のモデルがずらりと並んでいるのは、古きよき時代のBMWファンにはたまらない光景だ。1900年代初期の飛行機やオートバイも展示されている。エコカーや近未来車は、いかにもBMWらしい気質がうかがえて面白い。ゲーム感覚で楽しめるドライブ・シュミレーションではアツくなりすぎないよう注意。なお市内中心エリアにあるドイツ博物館にもBMWの三輪自動車やオートバイが多数展示されているので、こちらに足を伸ばしてみるのもいいだろう。
ドイツを旅するカーマニアが絶対に外せない場所、それがアウトシュタット(Autostadt)だ。ハノーヴァーから東へ車で約30分、ウォルフスブルクにグループ本社と工場を構えるフォルクスワーゲンが2000年にオープンした、車に関する複合的なテーマパークともいうべき施設。フォルクスワーゲン、アウディ、ランボルギーニといった同社ブランドの車はもとより、「環境と平和」をテーマにさまざまな形で企業理念を紹介している。工場見学、各種パビリオン、博物館、ショップなど広大な敷地内は見どころ多数。国内外から1日に約6000人が訪れるというのもうなずける充実ぶりだ。とはいえ決して子供向きではなく、カーマニアの要求も充分に満たしてくれる、優れたテーマパークなのである。
2000年末、ミュンヘンから北に約120kmのインゴルシュタットに華々しくオープンしたのがアウディ・フォーラム・インゴルシュタット。「アウディのすべてが体感できる」をキャッチフレーズに、同社の車、オートバイ、自転車まで幅広く網羅している。ここの特徴はミュージアム・モビールという展示形式だ。動く壁や循環エレベータなど、入館者は常に「動き」を意識することで、よりアウディ車の乗り物の深い世界へと誘われるのだ。気軽なレストランから本格的ダイニングまで併設され、まさにアウディ・ワールドが体感できる。
オペルの本社はフランクフルト国際空港のほど近く。博物館として独立した施設はなく、来場者はオペル・ライブ・プラント・ツアーという、いわば工場見学のような形で社内ツアーをするシステムになっている。実際の製造現場をバスで回り、ポイントごとに降車してガイドを受ける、かなり本格的なものだ。テンポがよく、ガイドもポイントを的確についているので、車そのものへの興味がさらに湧いてくること必至。待合室にはもちろんオペル車の展示あり。来場者が一定の人数になるとツアーが開始する仕組みなので、時間がない時は午前中早めに出向くのが望ましい。
■アイゼナハの自動車博物館
フランクフルトの東約100km、旧東ドイツの都市アイゼナハは、バッハ生誕の地でありルターが学んだ地として名高い。1896年には自動車の製造を開始。1928年に同工場がBMWに買収されるなど、ドイツ車の歴史に深い関わりを持った土地だ。ここにある自動車博物館(Automobibau Museum)は、旧東ドイツの代表車のひとつであるヴァルトブルクの歴史と変遷を紹介している。ちなみにヴァルトブルクは車のブランド名。東西分断・統一に翻弄された「自動車の街」の姿をしっかりと目に収めたい。

■ジンスハイム交通技術博物館
ハイデルベルクから電車で約40分の街ジンスハイムにあるジンスハイム交通技術博物館(Sinsheim Auto & technic Museum)は、世界的に貴重なコレクションを展示している。静かな街中に突如出現する飛行機(なんと世界初の超音速旅客機)が目印だ。欧米の非常に珍しいクラシックカーから飛行機、オートバイ、はては戦車、機関車、トラクターにいたるまでその展示は幅広い。実際に人間が乗り、操縦してきたこれらの「乗り物」だけに、その迫力は見るものを圧倒するに違いない。

■シュパイヤー自動車・技術博物館
ハイデルベルクの近く、古城街道のスタート地として知られるシュパイヤーという街にあるのが、シュパイヤー自動車・技術博物館(Auto & Technik Museum Speyer)。ジンスハイム交通技術博物館の姉妹館でもある。展示内容も車だけでなくバイク、鉄道関連、陸、海、空の軍事用兵器、農業用器具、船舶、消防関係者など多彩。どちらかというと車以外の展示物の方が豊富で、潜水艦の内部建学ができるなど、メカマニア向けの博物館といえそうだ。